オオカミの護符 (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルオオカミの護符 (新潮文庫)
発売日2014-11-28
製作者小倉 美惠子
販売元新潮社
JANコード9784101262918
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

購入者の感想

いまはすっかり都会となってしまった川崎市のなかに筆者の実家があり、その家の土蔵には
昔からおイヌ様の絵が描かれた札が貼られていた。それは、まぎれもなく「オオカミの護符」
奥多摩の農村に脈々と伝わっていた、敬虔なオオカミへの信仰。
イノシシやシカなどの害獣を捕食してくれるオオカミを神とあがめる農民の素朴な暮らし。
これは、いい本でした。
柳田國男にも言及していて、「山の人生」のなかのオオカミの出産についての話も興味深い。
ただ、フィールドワークに終始していて民俗学のレベルまで達していない感じも。
ほかの方も言っているようにもう少し深い考察があったら名著になったと思う。

まず、先日つまらんオオカミ小説を読んでムカムカしてた胸のつかえを取り除いてくれたことに感謝いたします。
このルポですが面白かったですよ。人柄がにじみでてますよね。ただどうしても取材させていただいてるって姿勢ですので
質問が浅くなりますよね。深く切り込めないっていうか。スゴーイってヨイショしなきゃいけないみたいな・・・。
そこが少し残念なんですが、それは仕方ないですよね。お師さんですか、彼らが亡くなったら葬儀はどう執り行うのでしょう?
そこにオイヌさまは関わるんだろうか?知りたいですね。私もオオカミの護符が欲しいです!

本書『オオカミの護符』は、その昔の武蔵国橘樹(たちばな)郡稲毛領土橋(つちはし)村、現在の神奈川県川崎市宮前区土橋に所在する著者・小倉美惠子さんの実家の<狼の護符>をきっかけとし、猪・鹿などの害獣を駆除する狼を敬う<狼信仰>の世界を取材したもの。著者は映像プロダクションの代表だが、手探りで民俗学的な探究を重ねていく。柳田民俗学に関心を寄せるレビュアーは、本書を通読して、いくつかの感想を持った。以下、思いつくままに。

狼を神使とするわが国の狼信仰では、埼玉県秩父市の三峯神社、京都府舞鶴市の大川神社、兵庫県養父市の養父神社などが知られている。本書の<狼の護符>の場合は、青梅市の武蔵御嶽神社の守り札で、「武蔵國御嶽山大口眞神」と記され、牙を剥いた<お犬様>の姿が描かれる。先日、NHKBSの『新日本風土記』「多摩川」の再放送で、魔除け・泥棒除けの<お犬様>の護符が家の玄関や納屋の入り口に貼ってあるシーンが流れた。護符の「武蔵國御嶽山大口眞神」の文字と<お犬様>が大映しになり、人々が武蔵御嶽神社で護符をいただくシーンもあった。なるほど、本書の写真のとおりだ。

古く、狼は真神(まかみ・まがみ)と呼ばれ、『萬葉集』に、「大口の真神の原に降る雪はいたくな降りそ家もあらなくに」(1636)と詠われ、真神の原は、奈良県明日香村の飛鳥寺付近にあったという。長歌では、「…大口の 真神の原ゆ 思ひつつ 帰りにし人 家に至りきや…」(3268)とも詠われた。狼の口が大きいことから、大口が真神の枕詞になった。真神のマ(真)は、真砂・真弓・真木などの真正・強調・賞賛の意味の接頭語で、『大言海』は、毒蛇のマムシ(真虫)のマと同じか、とする。いずれも真に恐ろしい生き物だ。

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