医師の一分 (新潮新書) の感想

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参照データ

タイトル医師の一分 (新潮新書)
発売日販売日未定
製作者里見 清一
販売元新潮社
JANコード9784106105975
カテゴリジャンル別 » ノンフィクション » 科学 » 医学

購入者の感想

 本書の著者、里見(國頭)さんは、1961年生まれ、東大卒の医師です。本書は、「まえがき」を除いて、すべて「新潮45」に連載された
 「日本のビューキ」に加筆・修正を加えられたもので、新潮新書としては、「偽善の医療」、「衆愚の病理」に続く3冊目となります。
 本書の主題は、「寿命の番人」から見た、現代人の死に方と、そこでの医者の役割だそうで、
 本書も里見さんの他の著書の例にもれず、シニカルで、一見、辛辣で、受けいれ難い意見、考え方のオン・パレードです。
 先ずは、「褒められたら人は伸びるのか」ら、始まります。これは、明らかです。ほめ方がポイントを突いていれば、誰でも嬉しいし、
 また、それなりの努力をすると思います。話は、徐々に核心に入っていきます。現代の医者は、患者の自己決定権の尊重を大義名分にし、
 プロとして、自分の決定を回避することがあまりにも多いのではないのだろうか?しかし、患者の自己決定権の最大化は、
 患者に必ずしも優しいとは限らない、自分の修行、経験を駆使し、患者の前に具体策を提示しようとしない医者は、
 「ドクター」の称号に値しないと断じています。
 話は、がん患者のメリットに移ります。これもよくわかる話です。がん患者であれば、医療施設もそれなりの対応をとりますし、
 何よりも、寿命が分かっていれば、本人も家族もそれに対して、対応がとり易いです。
 そして、命に上下は存在する・・・里見さんがかって勤務した救命センターでは、労災は、受ける。自殺(未遂)は、断る。
 交通事故は、その時考える。ただし、子供は、何があっても、受ける。と言われたそうです。
 当然、もう死にたいという患者に、叱咤激励し、まだ生きたいという人に、贅沢言うな、もう寿命だ、という必要も出てきます。
 話は、さらに、人間のピーク、二番煎じの価値・・・・・・と続きます。
 ここまで読んで、現代の医者は寿命の番人みたいなもの、つまりは「死神」の仕事まで担う。
 そして、その職責を甘んじて受けなければならない。それが「医者の一分」である、という言葉がぐっと重みを増してきます。

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