三国志演義 (三) (講談社学術文庫) の感想

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タイトル三国志演義 (三) (講談社学術文庫)
発売日販売日未定
販売元講談社
JANコード9784062922593
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 古典 » 中国の古典

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三国志演義全4巻のうちの第3巻。カバー写真は葛飾北斎画の張飛(MAK-Austrian Museum of Applied Arts/Contemporary Art.Photograph)。全120回のうち61-90回を収録。本書は西暦212年から225年をカバーし、これまで登場した英雄が次々に姿を消していくが、この期間はわずか13年間。黄絹幼婦(こうけんようふ)・絶妙好辞 (楊修と曹操の会話p246-247)、三馬同槽(さんばどうそうp387)、七歩の詩(曹植が曹丕に作った詩p403)といった故事を掲載。諸葛亮による南部の平定は、ユニークな相手が登場。七擒七縦(しちきんしちしょうp641)の故事にある孟獲を筆頭に、その妻で、手裏剣使いの祝融(しゅくゆう)夫人p625、身長1丈2尺(280cmほど)の兀突骨(ごつとつこつp632)など。三国志演義第1回によると当時の1尺は23cmで1丈はその10倍、1寸は1尺の10分の1。劉備7尺5寸、張飛8尺、関羽9尺と紹介されている。演義には8尺184cmの長身の人物は他にも数人登場するが1丈=10尺を越えるのは兀突骨だけ。ちなみに、第4巻では陳倉の戦いの’(かく)昭p160と王双p163が9尺で、p352の訳注には始皇帝に使えた阮翁仲(げんおうちゅう)は1丈3尺で3m近いと紹介されている。南部平定の戦は、妖怪退治のような面白さはあるとはいえ、現地の兵士を蛮兵と表現するなど、現代の感覚からすると人種差別は否めない。諸葛亮が兀突骨軍を破った後、涙を流しているのは救い。以下は金言。

唇亡(ほろ)べば歯寒し(関係の密接な者の一方が滅びると、もう一方も危うくなる)p101

曹操:人は足るを知らざるに苦しむ。既に隴(ろう)を得て、復(ま)た蜀を望まんや(隴西を平定した光武帝を引用して)p167

諸葛亮が劉備に史記の韓信の准陰侯列伝から引用して:天の与えて取らざるは、反(かえ)って其(そ)の咎を受く。p427

馬良が劉備に対して:兼ねて聴けば即ち明るく、偏(かたよ)り聴けば即ち蔽(くら)し(多くの意見を聞けば正しい判断ができるが、かたよった意見しか聞かなければ正しい判断ができない)p490

本巻では、諸葛亮(孔明)の天下三分の計が実現します。劉備は関羽に荊州の守備を託し、成都を攻略、余勢を駆って漢中も取り、蜀漢の基礎を固めました。いっぽう呉の孫権は魏の合肥を攻めますが、張遼に撃退され、魏と和睦しました。呉は、関羽の守る荊州の返還を迫ります。関羽は先制攻撃をかけ、一時は曹操に遷都を決意させるほどの勢いを見せましたが、呉の謀臣呂蒙の策略にはまり、捕らえられて斬られました。しかし関羽はただでは死なない。呂蒙は関羽の亡霊にたたられて狂死します。(関羽はのちに神としてまつられます。中華街のあるところ関帝廟あり。人気のほどがうかがえます。)

曹操の後を継いだ曹丕は、ついに後漢の献帝から帝位を奪いました。劉備も推戴されて蜀漢の帝位に就きますが、関羽の仇討のため、孔明らの反対を押し切って呉に侵攻します。しかし呉の若き俊才陸遜に大敗を喫し、白帝城に逃れ、孔明に後事を託して亡くなりました。劉備の遺言はたいへん感動的です。本巻の白眉と言えるでしょう。

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