鉄の棺―最後の日本潜水艦 (光人社NF文庫) の感想

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タイトル鉄の棺―最後の日本潜水艦 (光人社NF文庫)
発売日販売日未定
製作者齋藤 寛
販売元潮書房光人社
JANコード9784769824343
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

伊56号潜水艦乗組の海軍軍医中尉の著書です。

昭和18年の伊56号潜水間着任から沖縄線直前までの1年半の戦記です。
書いたのは終戦後8年を経た昭和28年です。

潜水艦乗組員の実像がリアルに分かる迫真の名著です。

著者が伊56号に初めて乗艦した時からその日の就寝までの出来事を読んだだけで、潜水艦
の狭さ、プライバシーの欠如、設備の汚れ、空気の悪さや匂いなどをリアルに感じること
ができます。自分がその空気を吸い、匂いを嗅いだような感じがしてきます。
あまりにリアルなので、潜水艦の狭くて劣悪な環境を実体験したような気持ちになってし
まい、狭さ、息苦しさを感じクラクラしました。
潜水艦に乗務することがどういうことかよくわかります。

乗組員が暮らす潜水艦の間取りや構造もさりげなく、しっかり書かれています。
2本の潜望鏡、電探用アンテナ、機銃側と望遠鏡、内海を浮上中だけ使用する甲板のトイ
レ、魚雷発射室に魚雷を入れるために傾斜した隔壁、発射管の間に飾り付けられているお
神酒、隔壁ハッチ大きさ、主計室、調音室、艦長室や広さ、士官のベットのサイズ、士官
室のテーブル配置や席順、食堂の小さな茶碗、海図入れの場所や大きさ、トイレの配置、
人事考課保管場所、艦内神社など、潜水艦に関することであれば、私物入れの引き出しの
中のねずみの糞まで書いてあります。

しかも、服やハッチのハンドルの色、人事考課表の赤い文字の色、電球と蛍光灯の照明の
色の違いなども含めフルカラーです。

これらが、説明や解説風ではなく、さりげなく背景画のように書かれているので、とても
読みやすくなっています。

目に見えるものだけでなく、空気の温度や匂い、ベットを区切るベニア板の感触やカタパ
ルトのヒンヤリした鉄の感触、浮上直後にハッチを開けた時の嵐のような空気の流れから
扇風機の起こす微風、魚雷発射後に艦内に逆流してくるの圧縮空気など、五感に感じるも
のはすべて書き込まれています。

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