ブッダの瞑想法―ヴィパッサナー瞑想の理論と実践 の感想

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参照データ

タイトルブッダの瞑想法―ヴィパッサナー瞑想の理論と実践
発売日販売日未定
製作者地橋 秀雄
販売元春秋社
JANコード9784393710579
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 東洋思想 » 東洋哲学入門

購入者の感想

 本書の最大の特色は、心の清浄道としてヴィパッサナー瞑想を位置づけ、説明している点である。

 心の清浄道というのは、聞きなれない言葉である。例えば、特定の人物に対する怒りを感じたとしよう。その怒りや憤りを覚えること自体が、苦しみではないだろうか? 大抵の人は、頭にくるその人物が自分に怒りをもたらしたのであって、自分が悪いわけではない、と考えてしまう。だが実は、その怒りは自分の心の汚れが生み出したもので、心をきれいにすることによって、怒りがもたらした苦しみから解放されるのである。その方法を心の清浄道と呼んでいる。ヴィパッサナー瞑想は、苦を乗り越えていくシステムであり、神秘体験・至高体験を目指すものではない。すべての苦が完全に乗り越えられた状態こそが心の平安であり悟りなのだ、とも強調されている。

 この本は大きく3つの部分から構成される。清浄道としてのヴィパッサナー瞑想の成り立ち(序章〜三章)、瞑想の技法(四章〜五章)、心の掃除法(六章〜終章)の3つである。

 成り立ちではブッダの瞑想経験、九次第定・七覚支の瞑想システム、認知プロセスモデル、サマーディとの関係を解説。

 瞑想の技法では、サティの基礎技術つまり地道な気付きの技術を身→受→心→法と段階的に進める方法を解説。特に心随観(心の可視化)ではどのように自分の心を対象化すればいいのか具体的に示されている。

 心の可視化によって汚れ(貪瞋痴)への対応が可能になり、心の掃除のための具体的な方法が示される。それが、慈悲の瞑想と12の方法である。そこには神秘的なものなど何もなく、実際に自分の苦を軽減し、幸せに生きるための方法が示されている。

 印象深い言葉は「心の便所掃除」である。いつも使っていて、いつの間にか汚れてしまっている心(便所)。それを綺麗にするためには、常に汚れに気づき掃除を行う必要がある。便所掃除(清浄道)ははじめいやな仕事と思えてしまうが、それこそが本当に大事な仕事であることがよくわかる。

 怒りに苦しむ人、ヴィパッサナー瞑想を志す人にお勧めする。

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