慰安婦問題 (ちくま新書) の感想

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参照データ

タイトル慰安婦問題 (ちくま新書)
発売日販売日未定
製作者熊谷 奈緒子
販売元筑摩書房
JANコード9784480067821
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

本書を買われるにあたっては、まず218頁から220頁までを一読されることをお勧めします。

大変引用あるいは要約の多い書です。それ自身は悪いことではないし、ショーペンハウエルに与するつもりはありませんが、引用の多さが思考の少なさとして結果しているとなれば、いかがでしょうか。
本書には多くの引用・要約が出てきますが、いずれも断片的であって、もともとの書物・論文がどういう主張のものなのか、わかりづらく感じられました。意地悪く言えば、「複眼的言説」(223頁)を装うために便利に使われているように見えてしまいます。
引用された文献は時に鋭く対立するものがあります。しかし、著者はその時々によって、どちらの立場にも「理解」を示します(あるいは無造作に並べます)。では、それらを止揚する立場が模索されてゆくかといえば、そうでもありません。著者の思考がどこに収斂しようとしているのか、理解が届きませんでした。

本書の最後の段落は次のようです。
「慰安婦問題の包括的な認識を目指して、加害国、被害国、そして第三国の人間が複眼的言説を持つことが、問題解決の第一歩となるのである。そのためにも元慰安婦の証言、体験を人種、国籍、性別を問わずより多くの人がまず知るべきである」
慰安婦の証言が紹介されるわけでもなく、そういう主張で一貫しているとは思えませんでした。

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