ジュリアス・シーザー (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルジュリアス・シーザー (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者シェイクスピア
販売元新潮社
JANコード9784102020067
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 戯曲・シナリオ » イギリス・アメリカ

購入者の感想

絶対的な名声と権力を手に入れたローマの英雄シーザー。
やがて彼が王になることに対し、危機感を募らせてきたブルータス一味がやむをえず暗殺を企て決行します。
しかし、運命の神々はシーザー派のアントニーに味方し、ブルータス一味を破滅に追いやることに・・・

ストーリーはすごく単純ですが、起承転結があって、場面転換がスピーディーなので、伝説的クーデターを一挙に目撃してきたかのような快感を味わえました。

なにより各人物が語る口調がすばらしいです。
面白かったのは、クーデター直後アントニーがカエサルの亡骸とともに民衆の前でする演説です。
「王冠を三度断ったシーザーは、公明正大の士ブルータスにたおされたのだ」と皮肉いっぱい。
ブルータスがあっという間に英雄から極悪人に変わってしまいます。

福田訳は古臭くありませんでした。巻末の解題もしっかりしています。プルタークの『英雄伝』を基に戯曲に仕立てているということなので、こっちも読んでみたくなります。

歴史を文学・娯楽作品にすることによって、生身の人間がどのような気持ちで過去に生きていたのだろうかと、豊かな見方ができるんだなあと考えたりしました。

シェークスピアの他の作品と同様、芝居の脚本として書かれているため、まわりくどく、大仰で、理屈っぽい言い回しが多いが、シェークスピアの作品としては珍しく卑猥な表現や翻訳家泣かせのダジャレがない。
「ローマ人の物語」の著者・塩野七生がこの作品について、プルタークの「伝記」を参照して書いてあるだけで、史実ではないと批評しているが、そんなことはどうでもいい。例えば日本でも、赤穂浪士の討ち入り事件に刺激されて「仮名手本忠臣蔵」が書かれ、現代に至ってもさまざまな忠臣蔵の小説、映画、テレビ番組が作られているが、大石東下り、南部坂雪の別れ、赤垣源蔵徳利の別れ、神崎与五郎詫証文その他の名場面が史実ではないのを承知のうえで、国民はそれを鑑賞しているのだから。
シェークスピアの作品についてはさまざまな翻訳があり、他の翻訳を読んでいないので本書の翻訳がどうなのかわからないが、文章は読みやすく活字が大きく何も不満はない。上記のプルタークの「伝記」についても巻末に詳しく引用されているので、有益である。

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