アジア・シフトのすすめ (PHPビジネス新書) の感想

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参照データ

タイトルアジア・シフトのすすめ (PHPビジネス新書)
発売日販売日未定
製作者田村 耕太郎
販売元PHP研究所
JANコード9784569820958
カテゴリ » ジャンル別 » ビジネス・経済 » ビジネス実用

購入者の感想

 当方、2011年からシンガポールに駐在しており、肌感覚でシンガポールの状況はそれなりに分かっているつもりです。著者については、ブログなどの評判や容姿などから、大した本ではないだろうと注意して読み始めました。中身的には至極まっとうに東南アジア・シンガポールを表裏捉えているとは思います。

 なので、読む前と読んだ後では大分印象が異なりました。ただ、シンガポールの教育が多民族で設備的にも優れている、小学校から選抜がある、著者も娘のために教育移民をしたように書かれていますが、個人的にはそれほどここの教育の成果が優れているとは思えません。というのも、十数人のシンガポーリアンを採用していますが、仕事の進め方、頭の良さ、コミュニケーション力を取ってみても、凄いと思える社員に会ったことがありません。

 たまたま、弊社の採用がそうだったのかもしれませんが、実感としては狡辛い人が多いと思います。中国からの移民の末裔が多く、使えるものはなんでも利用しよう(合法的な範囲で)、一応シンガポールだから第一印象と外国人には外面よく、というのが私の辛口の評価です。

 それでも英語が使えること、外国人の労働ビザが発行され安全なこと、チャンギ空港を含めた地の利の良さは圧倒的に有利でここ数十年はシンガポールは安泰だとは思います。著者も書いているように、シンガポール万歳ではなく、光と影を知った上で、シンガポールを活用するのがいいのではないでしょうか?

政治家から行動するビジネスマン、行動する学者に転じた田村さんの面目躍如といった内容です。田村さんは娘さんの教育のために今年からシンガポールに移住し、リークアンユー公共政策大学院(NUS)教授、シンクタンク日本戦略情報機構(JII)CEOなどの要職を務めながら、ASEANを中心に活動を展開しています。その田村さんが、アジアの成長を日本に取り込むためのビジネスと教育のリアルノウハウを詳述したのが本著です。田村さんの長年のネットでの連載がベースになっているのでデータ量も豊富で、カバー範囲も拠点を構えているシンガポールだけでなく、ASEAN全域に及んでいて、非常に実用的で且つ本質を突いています。
それにしても驚くべきは、シンガポールの危機感と日本のレジリエンス(粘り強さ)の対比です。これほどまでに国家運営が上手く行っているシンガポールが、このままではダメになってしまうという強い危機感を持っているのに対して、失われた20年を経てダメだダメだと言われながらも何だかんだ社会が持っている日本のヒューマンキャピタルの強さは、日本人として喜ぶべきなのか悲しむべきなのか。シンガポールが強い危機感を持つ理由もここにハッキリと書いてあって、なるほどという感じでした。
もうひとつなるほどと思ったのは、これまではアメリカのビジネスモデルを日本に輸入することが日本で一定の成果をあげてきたのに対し、これからは2050年には世界のGDPの過半を占めるであろうアジアに対して日本のビジネスモデルを輸出することで、日本がアジアの成長を取り込める可能性があるということ。特に、親日的でマーケットが大きいASEANは日本にとって大きな魅力ですね。アベノミクスは後4年は続きそうですが、2020年の東京オリンピックまで本当に日本は持つのか、日本がこのままダメになってしまわないためにはどうしたら良いのか。それを確かめるため、何はともあれ、田村さんについてシンガポールに移り住んでみたくなりました。

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