The Holocaust (English Edition) の感想

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タイトルThe Holocaust (English Edition)
発売日2014-06-05
製作者Martin Gilbert
販売元RosettaBooks
JANコード登録されていません
カテゴリHistory » World » Jewish » Holocaust

購入者の感想

 これはユダヤ人虐殺について書かれた本である。人生の意味や人間の夢とか理想について考えている人ならば、この本を読んで大きな影響を受けないことはあり得ないだろう。
 この書はまさしく死者への鎮魂の祈りである。そして同時に強烈な問となっている。この本を通じて有名無名の死者たちは人生の意味、宗教の意味を私たちに問いかける。
 ユダヤ人虐殺については多くの本があり、良く知られているものにはフランクルの「夜と霧」とかウィーゼルの「夜」などがある。しかしこの本を読むと、強制収容所にいたフランクルやウィーゼルさえ目にすることのなかった悲劇があったことを知らされる。この本を読んでから、私の心の深い処で、何か根本的なことが変わってしまったように思う。
 この本は心を込めて誠実に書かれている。それは著者が犠牲者とそうでない者の越えがたい違いを深く理解しているからであろう。数多いエピソードの中から一つだけ引用する。これはあまりに悲しいある親と子の運命である。
 労働カードを持った者には生き延びるチャンスが与えられた。しかし彼らの子供たちはその対象からは外れていたのだ。ザメックは彼の二歳の娘をナップサックに入れて関門を通過しようと決心した。まず娘に睡眠薬を飲ませ、妻と共に列に並んだ。このあと何が起きたか、そしてザメックが彼の番を待っていた時、別のある父親とその子がどうなったかということをアレキサンダー・ドナートが書き残している。
 列はゆっくりと進み、前に立ちふさがる親衛隊の士官は威厳を持って生と死、右へ進むか左へ進むかをより分けた。張りつめた沈黙の中で突如として赤ん坊の泣き声が響きわたった。親衛隊の士官の動きは止まり、千人の男女は息をひそめた。ウクライナ人の警備兵が走り寄り、聞こえてはならない声を発したそのナップサックを銃剣で数回突いた。瞬く間にそのナップサックは血でびしょぬれのぼろ布と化した。「この豚犬め!」親衛隊の士官は怒り狂って叫び、子供を密かに連れ出そうとした父親の血の気を失った顔に向かって鞭を振り下ろした。ウクライナ人の警備兵の銃弾がこの父親にとどめをさし、ここで苦しみを終わらせたことはこの父親にとっては幸いであったかもしれない。このことがあってから、警備兵たちはすべての包みとナップサックを銃剣でもって調べ始めた。

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