なぜ日本の公教育費は少ないのか: 教育の公的役割を問いなおす の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトルなぜ日本の公教育費は少ないのか: 教育の公的役割を問いなおす
発売日販売日未定
製作者中澤 渉
販売元勁草書房
JANコード9784326653881
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 教育学 » 一般

購入者の感想

選挙の際に「社会福祉の充実」は声高に叫ばれるが、そこで取り上げられるのは「高齢者福祉」「医療」、あるいは「失業」「生活保護」といった高齢者や労働者を対象としたものが中心で、教育はあまり語られない。
語られる際には、教科書問題などの教育内容の話やいじめなどの問題が多く、教育費の話は争点にさえ昇らない。
しかし、日本の教育負担の構造は他国と比べても極めて歪な形になっている。

教育に対する公的支出の割合は、総支出で見ても対GDPで見ても国際比較すると著しく低く、特に高等教育(大学など)に対する支出は群を抜いて低い。
しかし、高等教育進学率が8割近く、大学進学率が半数近くなり、高等教育への進学は「贅沢」どころか「進学しないと不利」な状況になってきていながら、意識調査においては大学関係の負担は「公的に負うべき」と考える人は諸外国と比して非常に少なく、個人ですべきと考える人が多い。
意識調査でも、最低水準に公教育費がありながら「公教育費を増やすべき」と答える人の割合は半数程度ととびぬけて少なく、公教育が非常に充実している北欧(すでに充実しているからもう公教育費を増やす必要がない国)と同水準にある。
日本では過度に「平等化・横並び志向」が強いので、一律な内容に小学校、中学校にはそこそこな教育費が与えられる一方、大学のように「各自の能力に応じた教育」は各自が勝手にやればよいという発想に陥りやすい。
その結果、本来教育は優れて社会的な側面が強いのに、「自分で金を出して教育を受けた」のだから「果実も自分だけが享受する」という発想になりやすく、それが新自由主義的な方向へのスパイラルを生む。

日本では社会保障の充実が叫ばれる。確かに日本の総支出に占める社会保障費の割合は低い部類に属するが、高齢者・医療関係だけで見ると実は北欧と同等かそれ以上の割合で支出が行われている。
代わりに犠牲にされているのが家族関係や障がい者支援などである。
また、無駄な公共事業が多いから削れという意見は強いが、それは過去のイメージで現在の公共事業はむしろ削りすぎてしまった側面さえある。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

なぜ日本の公教育費は少ないのか: 教育の公的役割を問いなおす

アマゾンで購入する
勁草書房から発売された中澤 渉のなぜ日本の公教育費は少ないのか: 教育の公的役割を問いなおす(JAN:9784326653881)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.