論理的観点から―論理と哲学をめぐる九章 (双書プロブレーマタ) の感想

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参照データ

タイトル論理的観点から―論理と哲学をめぐる九章 (双書プロブレーマタ)
発売日販売日未定
製作者W.V.O. クワイン
販売元勁草書房
JANコード9784326198870
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 論理学・現象学

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「なにがあるのかについて」「経験主義のふたつのドグマ」など、現代哲学に転換をもたらし、新しい出発点となった論文を9本収めている。

上記2論文は、まとめると以下のようになるだろう。

「なにがあるのかについて」
まず、語の意味と、語の示す存在とは、別のものである。
(例えば、明けの明星と宵の明星は指示対象は同じだが、意味は異なる)
よって、ある語が意味を有するからといって、その語の指示対象が存在することにはならない。

ここで、言語と実在とが切り離される。
そうすることで、現象主義的概念と物理主義的概念の対立を解消する。
どの概念を用いるかは、どの概念を用いると有用であるかという、プラグマティックな問題に帰着するのである。

「経験主義のふたつのドグマ」
経験主義には二つのドグマがある。
一つは、事実とは独立に意味のみで真偽が決まる分析的真理と、事実にもとづく綜合的真理とは、決定的な差があるという信念である。
もう一つは、有意味な言明は、経験から論理的に構成できるとする信念である。
このどちらもが無根拠である。

定義や意味論的規則によって、分析性を擁護するかもしれない。
しかし、そうしたものは、定義や意味論的規則自体の曖昧性によって失敗するか、論点先取りに陥ってしまう。

また、一般的に真理は、事実と事実以外の要素の両方から支えられる。
例えば、「ブルータスはシーザーを殺した」は、その事実関係以外にも、「殺した」の意味にも左右される。

そして、経験依存が起こるのは、単語や言明ではなく、ある言語体系全体である。
なぜなら、言明は言語体系内で相互に絡み合っているからである。

そして、言語体系は概念を引き出す。
さらに概念は、上記したように必要性に応じてプラグマティックに選ばれる。

基本的・常識と言えばそれまでだが、斬新と言えば斬新な議論が展開されている。
上記2論文以外にも、興味深いテーマの論文が多数納められている。

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