月の裏側 (日本文化への視角) の感想

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参照データ

タイトル月の裏側 (日本文化への視角)
発売日販売日未定
製作者クロード・レヴィ=ストロース
販売元中央公論新社
JANコード9784120044243
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 文化人類学・民俗学 » 文化人類学一般

購入者の感想

 レヴィ=ストロ-スは1977年から88年の間に5回日本を訪れて、日本の各地に残る神話、料理法、職人の技、等を調査したと、書かれています。この本でレヴ=ストロースは日本のあらゆる面に率直に驚いているのですが、それを見事な分析力と感性で表現していることに今度は私たちが驚くのです。
 レヴィ=ストロ-スが日本に強く惹かれたきっかけが、日本の古典文学を通してだったことがわかります。例えば、「源氏物語を一歩読み進めるごとに、書かれていることに仰天した。そこにあるのは、・・・母型親族の役割、交叉いとこ(性が異なる兄弟の子であるいとこ)どうしの結婚をめぐる心理など、この上なく貴重な、あらゆる種類の情報があります」。未開の文明を調査することで近親相姦の禁止にいたるル-ルを「親族の構造」であきらかにしたレヴィ=ストロ-スにとっては、源氏物語は自ら構築した理論の生き生きとした心理描写を含む実例であったに違いませんね。こんなふうに源氏物語を読みなおす視点にまず驚きます。
 そればかりでなく、「平冶物語」、「平家物語」、での「敵の首を取るために生き、人生が二十年で終わる若者の文明のなかに」、民俗学者が長年研究の対象としてきた、ひとつの文明が地理的にも階層的にもふたつに分割される謎がふんだんに例示されていることに、レヴィ=ストロ-スは驚きもしています。
 「日本とはいったいなんなのでしょう」。そしてもっと驚いたのは、日本人がみずから自分たちにいつもこれと同じ問いかけをしている、ことだという。「日本をどう思われますか、私たちを誰だと思いますか?」と、レヴィ=ストロ-スに問うのは当の日本人なのだ、と。

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中央公論新社から発売されたクロード・レヴィ=ストロースの月の裏側 (日本文化への視角)(JAN:9784120044243)の感想と評価
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