天皇の影法師 (中公文庫) の感想
参照データ
タイトル | 天皇の影法師 (中公文庫) |
発売日 | 2012-04-21 |
製作者 | 猪瀬 直樹 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784122056312 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
天皇の影法師というタイトルを見て、本書手に取る方も多いのではないかと思わせるほど、印象的なタイトルの本書であるが、その内容も期待を裏切らないものである。
大佛次郎が「天皇の世紀」という大著を顕しているが、明治、大正、昭和という時代は、非常に天皇の印象が強い時代であり、また、明治国家の運営者達が意図的に天皇を強調した時代でもあった。そして、その象徴は明治維新とそれに伴う明治国家の元首であり、また、時代精神そのものでもあった明治天皇であった。
したがって、本書においても明治天皇とそれを取巻く廷臣達の宮廷絵巻が描かれていると思う方も居るのではないだろうか、しかし、本書は大正天皇についての記述から始まる。
期待を裏切られたというよりは、視点を変えられたという方が正しいかもしれないが、本書はそのようなある種、変わった視点から(変わった視点か否かは個人の主観によるが)、明治国家の舞台裏を渡り歩く、そして、東京日日新聞がなぜ、昭和では無く「光文」を次の元号であると誤報したのか、天皇の葬儀とその棺を運ぶ八瀬童子の存在について、島根県でおきた大日本帝国最後のクーデターを取り上げ、日本人にとっての戦前の終わり、そして、天皇の存在がいかに変化して行ったのかを、実際にそこにいた人々からの聞き取り調査などを踏まえながら、緻密に描いている。
読まれたことが無い方はもちろんだが、中公文庫化に当たって、東浩紀との対談も収録されているので、単行本や朝日文庫版で買われた方もこの機会に本書をもう一度、読み直して見てもいいのではないだろうか。
大佛次郎が「天皇の世紀」という大著を顕しているが、明治、大正、昭和という時代は、非常に天皇の印象が強い時代であり、また、明治国家の運営者達が意図的に天皇を強調した時代でもあった。そして、その象徴は明治維新とそれに伴う明治国家の元首であり、また、時代精神そのものでもあった明治天皇であった。
したがって、本書においても明治天皇とそれを取巻く廷臣達の宮廷絵巻が描かれていると思う方も居るのではないだろうか、しかし、本書は大正天皇についての記述から始まる。
期待を裏切られたというよりは、視点を変えられたという方が正しいかもしれないが、本書はそのようなある種、変わった視点から(変わった視点か否かは個人の主観によるが)、明治国家の舞台裏を渡り歩く、そして、東京日日新聞がなぜ、昭和では無く「光文」を次の元号であると誤報したのか、天皇の葬儀とその棺を運ぶ八瀬童子の存在について、島根県でおきた大日本帝国最後のクーデターを取り上げ、日本人にとっての戦前の終わり、そして、天皇の存在がいかに変化して行ったのかを、実際にそこにいた人々からの聞き取り調査などを踏まえながら、緻密に描いている。
読まれたことが無い方はもちろんだが、中公文庫化に当たって、東浩紀との対談も収録されているので、単行本や朝日文庫版で買われた方もこの機会に本書をもう一度、読み直して見てもいいのではないだろうか。