世界文学を読みほどく (新潮選書) の感想

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参照データ

タイトル世界文学を読みほどく (新潮選書)
発売日販売日未定
製作者池澤 夏樹
販売元新潮社
JANコード9784106035449
カテゴリジャンル別 » 文学・評論 » 評論・文学研究 » 日本文学研究

購入者の感想

著者の京都大学文学部での14回にわたる講義をまとめたものである。総論、作品解説(海外作品10作と著者の「静かな大地」)、総括からなる。小説の起源を神話にたどり、ゴシップも重要な要素とする。小説は旅のようだとも語っている。
 19世紀に一応の完成を見た小説が現在新しい展開を迫られている、世界がだんだん崩れて破片化しているという。著者の問題意識はカート・ヴォネガットの著した「スローターハウス5」の中の「人生について知るべきことは、すべてフョードル・ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」の中にある、・・・だけどもう、それだじゃ足りないんだ」という台詞が代弁しているとのこと。
 そのほか著者の商売上の秘密が公開されているのを読むのも楽しい。例えば著者の「夏の朝の成層圏」ではロビンソン・クルーソーをフレームとして使ったこと。島を舞台とする小説ではまず地図を書くこと。小説を志す人は自分の作品をけなす批評家としての自分に打ち勝たなくてはならないこと、などなどいろいろある。
 巻末に付録としてガルシア・マルケス「百年の孤独」読み解き支援キットとして、家系図・人物の出入りのリスト・エピソードの目録がある。作家が作品を作るプロセスを「合成」のプロセスとすると、逆の「分解」のプロセスを実行したと考えられ、これからも著者のノウハウが窺える。
 

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