柳橋物語・むかしも今も (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル柳橋物語・むかしも今も (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者山本 周五郎
販売元新潮社
JANコード9784101134048
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

「柳橋物語」と「今も昔も」この二つは主人公も女と男、結末も物理的には好対照である。一方で、ものすごく不幸な生まれつきと巡り合わせの“微妙な”悪さ~本質的には知り合う人に恵まれている~からなかなか幸せをつかめない、けれどもあきらめないで前向きに生きていく、という点では似たストーリーだ。特に「今も昔も」は幼い娘を育てている身としては感情移入できるものがある。
しかし、なんといってもぐっとくるのは柳橋物語のほう、これは本当にスゴイ中編である。巻末の解説者が「気の毒で読み進めるのがつらくなる」と書いていたが、まさしくその通りで、主人公の女の子がどうしてこんなにつらいめにあっちゃうのー!と思わずにいられない。それもスゴイ極悪人が出てくるわけでなく、本質的には善意の人たちに見守られながら病気・自然災害・火事・噂・誤解などが重なって次々に不幸が襲ってくる感じなのだ。特に振り袖火事のシーンは終戦直後の執筆という事もあって東京大空襲の話を思う出すくらいリアル。もっと卑近で言えば阪神大震災か。とにかく、さまざまに残酷な運命の中で育まれていく幼い命とやがて明らかにされる真実の愛!!(赤面)このエンディングはスゴイ!あああ!と思わずため息が漏れてしまうのでした。この辺をここで詳しく語ってしまうと身も蓋もございませんが、とにかくこのシーンに行き着くまでありとあらゆるエピソードが強烈に積み上げられ藩流のように爽快に転換していく筋立ては見事としか言いようがない。この精神的な邂逅というか、なんというか、さして有名でない中編ながら描かれているテーマは壮大だ。大感動!!

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