ビジュアル世界大地図 の感想

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　多くの項目に関して、見開きの世界地図を用い、見やすく説明してくれます。自然・生物・人類・テクノロジー、歴史、文化の5分野となっています。
　世界地図そのものがテーマに沿ったものになっていてとても楽しい。例えば「世界の金」に関しては世界地図が金の地金に、「美術」に関しては地図が水彩画っぽくなるなどです。このへんは、実際に見てもらえればその良さが伝わると思います。とはいえ、中には「ん？」と感じるものもあるのですが。「植物の世界」については、地図が芝生っぽくなっていてかえって分かりづらいんじゃなかと（私は）思いました。これに関しても、いろいろと見ていく楽しみがあります。読者の想定としては、中学高校生あたりだと思いますが、大人であっても十分に楽しめると思います。

　また、世界地図が日本人が見慣れている太平洋が真ん中に来るものではなく、イギリスが真ん中に来るものなので、やはり日本は極東なんだな、日本はずいぶん端っこにあるな改めて思わせてくれます。まあ、地球は丸いわけですから端も何もないのですが、太平洋が真ん中にある地図に慣れた目で見ると新鮮であります。　

　このように、見て楽しく読んでためになるのですが、しかし、物足りない点もあります。「地球の今と歴史がわかる」と銘打たれており、政治・経済分野は弱いと思います。この辺に関心がある人には物足りなくなるかも知れません。また、資料的な面では「ざっくり」としたものであるので、概括を得るのに向いていると言えると思います。
　
　さらに、いくつか気になる点もありました。例を挙げますと、軍事力の所で、日本が全く取り上げられていない点。「クジラ」に関しては、「捕鯨が禁止される1981年までに、100万頭のマッコウクジラが殺された」と大きく書いてあるのですが、「いつから？」とか「誰が？」とかいろいろ疑問を持ってしまうところでした。この書き方から、なんか捕鯨反対というメッセージが滲み出る感じであります。この頁はあくまでも「クジラ」であって「捕鯨」ではないので主にクジラの種類ごとの生息地の地図になっているところに、「捕鯨で~」という大きな見出しがあり違和感を感じたところ。やはりイギリス製だからでしょうか。