夢みる美術館計画 ワタリウム美術館の仕事術 の感想

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参照データ

タイトル夢みる美術館計画 ワタリウム美術館の仕事術
発売日販売日未定
製作者和多利 志津子
販売元日東書院本社
JANコード9784528010574
カテゴリ » ジャンル別 » アート・建築・デザイン » 美術館・博物館

購入者の感想

外苑前にあり、現代美術関係で珍しい展覧会を催している美術館として認識しているワタリウム美術館の館長さんたちの歩みや思いが詰まった本でした。
現代アートへの関心は少ないのですが、創立者の和多利志津子館長の美術エッセイの巧みさと視点の鋭さ、交友の広さにただただ驚きながら通読しました。アンディ・ウォーホル(1928〜87年)他の幅広い芸術家との交友録も本書のポイントでしょう。

黄色で彩られたページに掲載してある和多利志津子さんが書かれたしなやかで流麗な文体に魅せられました。詩的であり、内省であり、確かなメッセージを内在している書き手で、凡庸な美術評論家の文章とは質が違います。体言止めや倒置法、短いセンテンスの織りなすリズム感。ジョン・ケージの訃報も挿入された1992年の「レジスタンス」展の「夏草や、」の文章は、美術展の紹介でありながら文化論のような趣が感じられました。
キュレーターとしてだけでなく、文章家としても一流だと思います。

同美術館のキュレーターをされている和多利恵津子さんと浩一さん兄弟による美術館の歩みのドキュメントが縦糸として流れています。
「実際の展示を自身で行い、釘を打ち、キャプションを付けながら、まるで1点1点の作品に、語りかけるかのように会場を構成していく」本来の意味のキュレーターとして仕事の大切さを本書は具体的に語りかけていました。
学芸員をめざす学生の方は必読の本ではないでしょうか。

同じ場所にあったギャラリーを建て替え、美術館としてスタートするところから始まります。青山の外苑前という恵まれた立地ですが、三角形の敷地ゆえ、建築プロジェクトもアート形成の一環のようでした。スイスの建築家のマリオ・ボッタ氏(1943年〜)に依頼し「何がしたいのか」という問いかけが建設のコンセプトの中心に据えられていました。

草間弥生展、ルネ・マグリット写真展、南方熊楠、岡倉天心、「伊東忠太の世界」展(見に行きたかったです)などの開催された展覧会の紹介も興味深く読みました。
巻末にワタリウム美術館展覧会リストがありますが、斬新で、攻撃的で、実に興味深い展覧会名が並びます。和多利さん一家の炯眼が伝わってくることでしょう。

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