禅宣言 の感想

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読む者に衝撃を与えずには置かない本である。まずタイトルに「宣言」とあるのだが、これはまた「革命」と言っても良い。はっきり言って読む前と後とでは世界を見る目が変わる。画期的な本である。最も目を引くのが禅問答とその解釈である。同じ著者の『虚空の舟』という本の中では「もしかしたらただ達観しているだけじゃないのか」と思わせられる箇所がたびたびあったが、この著書の中では作者が本物の知性、単なる知性ではなく「目覚め」からくる洞察があることがよくわかる。私には『正法眼蔵』に挑んで挫折した苦い経験がある。だが多分、本書は「小さな正法眼蔵」足りうると思う。また「禅」というものがこれほどわかりやすく書かれている書はそうはない。宗教や哲学、科学などを厳しく指弾し、またそれらを時に肯定したりしながら論を進めていく。特に著者は「教義」というものを徹底的に批判し、「実践」と「体験」を眼目としてこれを掲げる。まさにそれが禅なのである。考えることではなく行動、言葉を求めるのではなく真理を求める・・・それが禅であり、その宣言である。当てずっぽうで買った物が大当りでした。ぜひ多くの人に読んでほしい。非常にお薦めです。