大人のひきこもり 本当は「外に出る理由」を探している人たち (講談社現代新書) の感想

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参照データ

タイトル大人のひきこもり 本当は「外に出る理由」を探している人たち (講談社現代新書)
発売日販売日未定
製作者池上 正樹
販売元講談社
JANコード9784062882866
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論

購入者の感想

「体裁は整っているように見えるのに、何か大事なものが欠けている」
この新書は、この一文から始まります。私は何か日本社会の本質を描き出した一文だと思います。

ひきこもってしまう原因は、十人十色です。社会や組織から理不尽な仕打ちを受けて、
自分に存在価値を見つけられず、ひきこもってしまう。体調や精神に不調をきたして、
ひきこもってしまう。一概に、これが、ひきこもりになる原因とはいえません。

また引用すると、「周りの空気を読みすぎてしまうくらい心やさしい感性の持ち主だからこそ、ひきこもってしまうのだ」。
やさしい人が、ひきこもってしまうなんて、なんだか矛盾しています。やさしい人だからこそ、社会で活躍してほしい。
しかし、本当にやさしい人は、今の社会では、この凄く生きにくい、これは真実だと思います。

少なくない人が日本社会や組織に違和感を感じていると思います。
異常な社会と言った方がいいかもしれません。
何が異常かは、うまく表現できませんが、冒頭の一文を考慮して表現すると、日本社会は、ものすごく便利な社会ですが、
人が生活をする上で極めて困難になっている。普通は便利になると生活が快適になるはずですが、それは表面的な
便利さで、人が元気に幸福でいられる要素を奪っていっているように思えます。ここ十数年でしょうか、もの凄い勢いで、
社会が変化して、大事な何かを失ったのかもしれません。その失ったものは、おそらく人が生きていく上で絶対に必要な
何かだと思います。共感、優しさ、助け合い、、、なかなか表現できません。

日本社会はどんどん便利な社会になっていますが、心に余裕がなく、競争が激烈で、何でも成果を求められ、
人と人が、助け合うことが、なかなか難しい社会になっています。

経済成長が明らかに行き詰って、労働人口が絶対的に減っているのに、
GDPを増やせと言っている時代です。1人当たりの労働生産性を上げれば、大丈夫!
個人にもっと付加価値をつけろ!、、、社会からの要請は、いつも現実とかけ離れています。

本書を読みながら、この問題はさらに深刻化するかもしれない、と思った。40歳代や50歳代でひきこもりをしている人は、ひきこもりの年数が長い人が多くいると推測され、高齢化するほど立ち直るのが難しい上に、同居している親が亡くなれば人間関係においても経済的にも孤立無援の立場になってしまうからだ。実際、そのような例はあちこちで発生しはじめており、親の死を隠したまま年金をこっそり受け取り続ける「消えた高齢者問題」についても、親の年金収入の庇護の下で暮らしていたひきこもった大人によって生み出されているものが含まれている可能性が高いことが実例と共に指摘されている。

ひきこもり対策は若年層を中心に行われてきた。そのため、40歳以上のひきこもりは支援の対象から外れがちであったようだ。全国で70万人で潜在人数155万人という2010年の内閣府の統計も、実は39歳までしか対象にしていなかった。このため、40歳以上のひきこもりについては全国規模の統計すら存在していない。しかし、いまや40歳代以上のひきこもりは珍しくない。地方と都市部で違いはあるが、山形県や島根県の場合で40歳以上のひきこもりは全体の45~53%。東京都町田市でも30%を超えている。つまり、比較的少ない町田市の比率の7:3を適用したとしても40歳代を含めたひきこもり全体の人数は全国で既に約100万人に上っていると推定される。そして、大人のひきこもりのうち、7割は男性らしく、ひきこもり歴10年以上の人が3割もいるという。

親側は世間体や暴力を恐れてあまり表沙汰にしたがらない。ひきこもっている大人たちも、自分が傷つくことに敏感なだけでなく他人に迷惑をかけたくないという意識が強く、一度狂い始めた歯車をどのように修正していいのかわからないまま深みにはまってゆく。自己責任の風潮が暗黙のプレッシャーになっている。中年では生活保護は受けられない人が多く、セーフティネットにも引っかからない。

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