ドイツ観念論とは何か―カント、フィヒテ、ヘルダーリンを中心として (ちくま学芸文庫) の感想

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タイトルドイツ観念論とは何か―カント、フィヒテ、ヘルダーリンを中心として (ちくま学芸文庫)
発売日販売日未定
製作者久保 陽一
販売元筑摩書房
JANコード9784480094933
カテゴリ人文・思想 » 哲学・思想 » 西洋思想 » 西洋哲学入門

購入者の感想

 通常言われている、ドイツ観念論―カント→フィヒテ→シェリング→ヘーゲル―の流れを踏襲しながらもスピノザ哲学を用いてカント哲学を批判したヤコービ、「表象」を基礎としてカント哲学を補足するラインホルト、そのラインホルトを議論の脆弱さを批判したシュルツェといった、カント哲学と対峙した18世紀末期の哲学者たちと、フィヒテやシェリングとは違った方法で、「無限なるもの」への思索を展開した、ヘルダー、シラー、ヘルダーリンといった歴史哲学者やロマン主義の詩人たちにも焦点を当て、当時にドイツ観念論が上記の4人には回収できない豊かさをもっていることを示してくれる。
 しかし、あくまでメインはカントとヘーゲルであり、カントにいたっては序盤の1/3くらいは全てカント哲学の紹介に当てられている。しかも「アプリオリな総合判断」や「カテゴリーの超越論的演繹」や「超越論的統覚」などカント哲学を理解するうえで重要な箇所が、ほとんど説明なしに、もしくはあっても復習程度にしか説明されないために、ドイツ観念論をある程度(少なくともカントおよびヘーゲルのいろは)は理解しておかないと本書の内容を理解するのは難しい。また他の哲学者も同じで、例えばフィヒテの「事行(Tathandlung)」の概念なども、それ自体の説明よりも、そういった概念が、ドイツ観念論のなかでどういう位置づけをされているかの方に焦点が当たっているために、全体の流れを掴むうえでは有益かもしれないが、細かな点を理解するには不向きである。
 ただ、もともとタイトルにもあるようにドイツ観念論全体の流れを把握するために書かれたものであるのだから、本来の目的は十分達していると思う。しかし入門書ではないということでここでは星をひとつ減らすことにした。

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筑摩書房から発売された久保 陽一のドイツ観念論とは何か―カント、フィヒテ、ヘルダーリンを中心として (ちくま学芸文庫)(JAN:9784480094933)の感想と評価
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