サッカー批評(71) (双葉社スーパームック) の感想

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「スペインはW杯とEUROを3連覇した”100年に1度のチーム”だ。これは史上初の快挙。もしもドイツが同じことをやり遂げたら、そこで初めて『僕らの時代が来た』と胸を張れる。僕にとってのスペインは相変わらずEURO2016の一番手だ」（フィリップ・ラーム）。

ブラジルワールドカップはドイツが優勝した。特に、ホームのサッカー王国ブラジルを相手に７-１で圧勝した試合は世界のサッカーファンに衝撃を与えた。「新ドイツサッカー」というタイトル、そしてドイツ代表監督のヨアヒム・レーヴとバイエルン・ミュンヘン監督のペップ・グラルディオラの写真を見て衝動買いした。

いろいろなレポートやインタビューが載っている。レーヴとグラルディオラの話、レーヴァの右腕のハンジ・フリックについての記事はドイツ人記者によるもの。ドイツ代表のメンバーの多くがバイエルンのメンバーでもあるし、レーヴとフリックが共に代表選手の経験がなく挫折を経験していることなど、これはこれで興味深い内容ではある。マヌエル・ロイヤーとフィリップ・ラームのインタビューも代表チームの結束力やブラジルW杯でのキャンプ地の選定の正しさ、現代サッカーにおけるゴールキーパーの役割といったポイントを語ってくれている。ただ、現在のドイツの強さという点では現地のS級ライセンスを持つ鈴木良平氏のインタビューが明快に答えているといえるかもしれない。1998年のワールドカップと2000年のEUROでの惨敗を受けて2001-2002年シーズンからスタートした全国規模の育成改革。代表の改革ではなく、育成の改革であったという点がポイントで、しかも全国366箇所の拠点を中心に行われる指導と才能の発掘及びプレー機会の提供の方針というようにシステム的な変革が徹底しているところがドイツらしい。この辺は、ブラジルワールドカップで惨敗しながら、代表監督を変えた以外にそれほど大きな改革をやっているようには見えない日本サッカー協会にも見習うところがあるような気がした。