吉里吉里人 (中巻) (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル吉里吉里人 (中巻) (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者井上 ひさし
販売元新潮社
JANコード9784101168173
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

豊かな言葉の海に漂いながら、いろんな文学的仕掛けや試み・実験に満ち満ちた楽しいミュージカルか、コメディを堪能している気分になった。変化に富む話の展開の中で、げたげたとちょっと下品に、下世話に、繰り返して何度も腹を抱えて笑わせられた。吉里吉里国では、ストリッパーが重要無形文化財となり、売春行為も女性の自立した意志を前提に合法化される。本作品の狂言回し役であり、偶然吉里吉里国に迷い込んだ憎めない俗物三文文士の古橋健二50歳は、裁判にかけられ、有罪となる一方で、出稼ぎに出た夫に逃げられた色っぽい美人妻ケイコ木下(きおろし)27歳の婿養子として結婚することになり、完全に舞い上がてしまい、吉里吉里国への移民第一号となる。それがテレビ中継を通して日本中に知れ渡り、日本国政府に衝撃を与え、一日に5回も閣議が開かれるほどに慌てさせる。一方、世界最高の医療体制を整えた吉里吉里国立病院の全貌が明かされ、医療立国を切り札とする吉里吉里国の独立戦略も明らかになる。内容豊富、アイデア・下ネタ満載、メッセージ性(やや政治的?)、人情味、言葉遊び、有り余るサービス精神。全体を通して決して重くならずに軽やかさが維持されている。とにかく、読書を通してこんなに笑わされた経験は、久しぶりだ。<哄笑文学>とでも呼びたくなる。但し、この小説の間口の広さや奥行き・深さを、翻訳によって表現することはほとんど不可能だろう。日本の最高の作品が、その表現の多彩さと質の高さゆえに外国の人々に知ってもらえない。村上春樹は、世界に知ってもらえるが、井上ひさしのすごさは、なかなか知ってもらえない。ちょっと残念だが、仕方の無いことだろう。ちなみに、上巻・中巻、合わせて1000ページだが、作品中では、まだ一日半しか時間は経っていないのである。

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