海の都の物語〈4〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 海の都の物語〈4〉―ヴェネツィア共和国の一千年 (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 塩野 七生 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101181356 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » 文学・評論 |
購入者の感想
全6巻の半分を過ぎ、物語はいよいよ佳境に入ってきた。15世紀以降、大きくのし上がってきたオスマン・トルコの登場である。塩野さんのペンは一段と躍動感に満ちた筆致となり、トルコもヴェネツィアも、同じような醒めた距離感の下で冷静に、そして静かな興奮のなかで順序良く描かれていく。スルタン・マホメッド2世の人となりの描写は鮮やかだし、対するヴェネツィア共和国の合理的かつ計算高い差配の分析は見事だし、中世の欧州の勢力図の見取り図は至って分かりやすかった。相変わらずの心地よい閲読が楽しめた。
トルコの話の次は、第9話の「聖地巡礼パック旅行」。サント・ブラスカの旅行記が中心で、こちらも面白く読めた。評者の関心事でいえば、巡礼団がどんな食事を摂っていたのかもう少し分かれば、なお興趣があった、と思う。
トルコの話の次は、第9話の「聖地巡礼パック旅行」。サント・ブラスカの旅行記が中心で、こちらも面白く読めた。評者の関心事でいえば、巡礼団がどんな食事を摂っていたのかもう少し分かれば、なお興趣があった、と思う。