手鎖心中 (文春文庫) の感想

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参照データ

タイトル手鎖心中 (文春文庫)
発売日販売日未定
製作者井上 ひさし
販売元文藝春秋
JANコード9784167111274
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » 歴史・時代小説

購入者の感想

作家志望の大金持ちのお坊ちゃんが、お金に物を言わせて自分の名前で本を出版し、作家は、無頼でなくっちゃいけねぇ、といった按配で、嫁を泣かせ、吉原に通い、お上に楯突き手鎖となって、まだ懲りず、遂には心中を企てる、といった平和な生活を敢えて打ち壊してゆく、作家というものの業を描いたものと言えます。
ひ弱で才能も持ち合わせていない優男が、周りに馬鹿にされても、飽きられても、大真面目で次々と事をでっち上げてゆく、その不思議さ。その馬鹿な男が、本物の戯作家を刺激し、行動にスイッチを入れます。
どうしても、戯作家の中に著者を重ね合わせてしまいます。
もう一作は、浦島太郎のパロディのようです。江戸の大店のあととりと太鼓もちが、江戸湾で嵐にあい、沖合いで廻船に拾われ、東北地方に運ばれ、そこから江戸に戻ってくる噺です。勿論簡単には戻れません。
江戸の町人文化をベースにしたユーモラスな作品ですが、作者の目は決して笑ってないように感じられました。
凄みのあるユーモアが、直木賞受賞作品です。

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