自閉症だったわたしへ (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトル自閉症だったわたしへ (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者ドナ ウィリアムズ
販売元新潮社
JANコード9784102156117
カテゴリ文学・評論 » 評論・文学研究 » 外国文学研究 » ドイツ文学

購入者の感想

自閉症者の見る世界。

それを当事者が記述する。

そこには周囲の人々からは見えなかった世界が見える。

著者のドナ・ウィリアムズはこれまで知られなかった自閉症の世界を広く世に知らしめたという一点だけでも非常に高く評価される。

断片的に話すことはできる自閉症者は少なくないが、ここまでまとまった形で記述できる自閉症者は少ない。

キャロルやウィリーといった内なる別人格。

人ではなく、その向こうの空間を何となく見ることにより人に目を合わせていると思わせるように話す、などといった社会生活への得意な適応法(適応法を編み出すまでの苦労もまた典型である)。

声や触感など通常と異なる対象への関心や自分の決めた手順への異常なこだわり。

そこには自閉症者の典型が見える。

さらに自閉症者は経験と学習を重ねることにより社会との折り合いを少しずつつけることができることを世間に知らしめたこともこの本の業績である。

徐々に社会との折り合いをつけ、その先の成果として活字を緩衝剤として自分の世界を紡ぎ出し、世に問うことに成功した。

現在では自閉症者当事者からの著書は多くものされている。

それらはドナ・ウィリアムズという先駆者がいたからこそ「できる」と思ったのだ。やはり先駆者としてのドナ・ウィリアムズの功績は大きい。

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