沈む日本を愛せますか? の感想

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タイトル沈む日本を愛せますか?
発売日販売日未定
製作者内田 樹
販売元ロッキングオン
JANコード9784860520939
カテゴリ »  » ジャンル別 » 文学・評論

購入者の感想

 2014年現在、この本を読むと悲しくなってくる。
 2009年のサヨナラ自民党から民主党政権の迷走までの、二人の対談、というより渋谷陽一をまじえた鼎談。
 当時の分析としては、おもしろかったのかもしれない。でも、現状が、当時の予測以上にひどいことになっている。だから悲しくなってくる。
 結局、ここで語られていることは、団塊世代の上から目線の分析だ。そこには当事者意識はない。でも、それもそのはず、これからひどくなっていく日本で、団塊世代は逃げ切れると思っているからだ。極端なことを言えば、この世代が2020年以降、オリンピックが終わった日本で、後期高齢者として介護を受けるが、それを支えるのは、その下の世代。とりわけ今の50代は少ない年金をもらってボランティアで高齢者のめんどうをみなきゃいけないかもしれない。なぜボランティアかっていうと、お金がないから。つまり、そういったリアルを、団塊世代は共有できていないから、何となく、他人事みたいな対談になってしまう。
 けれども、現状のひどい日本をつくった原因の一つは、団塊世代、あるいはそれより上の世代が、しっかりした言説を残さなかったから、少なくともそういう責任はあると思う。つまり、たとえば憲法を守るとして、基本的人権はどういうものなのか、といったことは、すっぽり抜け落ちている。渋谷自身、ロックが容易に体制側に回収されてしまうということに、うまく批判できていないんじゃないかと思う。
 上から目線のもう一つの証左として、この世代は、政治家だけに責任を求めようとする。民主党がぐだぐだになったのは、民主党自身の問題。でも、当たり前だけれども、マーケットが正常に機能すれば、マーケットが必要とする製品が開発される。それは、消費者自身がマーケットを変えなくてはいけないことだ。ところが、政治においては、このことが機能しなかった。民主党の粗悪な商品を改善させることができなかった。商品に対する批評だけで、どんな商品にすべきかがない。
 そういったところにも、もっと責任をかんじてもらいたい。せめて、反省の弁くらいあってもよさそうなものだ。

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