リーダーは自然体 無理せず、飾らず、ありのまま (光文社新書) の感想

本書のオビを見て、最近はやりの「女性のサクセスストーリー」かと思って一瞬ためらったが、
その予想は見事に裏切られた。

自らの存在をさらけだして実践する姿に触れ
関わる人が自分の中に何かをみつけだしていくその過程が迫ってくる。
各章ですすめられる旅の終わりとなる終章の語りは　読み手の心に深く刻まれていく。
著者増田氏の、人の存在の意味への問いかけに対して　頭で理解している知識から答えは出せない。
私たちの存在そのものが　答えであることを気づかせてくれる。
人と共にあり、実存を体現されているリーダーであり
その誠実な語りを読むことで自分の魂が心地よく揺さぶられる。

『われわれは他者の人生に意味を与えることはできません。われわれが彼に与えることができるもの、
　人生の餞（はなむけ）として彼に与えることのできるもの、それはただひとつ、実例、
　つまりわれわれのまるごとの存在という実例だけであります。
　というのは、人間の苦悩、人間の人生の究極の意味への問いに対しては、
　もはや知的な答えはあり得ず、ただ実存的な答えしかあり得ないからであります。
　われわれは言葉で答えるのではなく、われわれの現存在そのものが答えなのです。』
（ヴィクトル・フランクル）のこの言葉がうかんできて、
こんなことが現実の企業内でも可能なのだと勇気が湧く。

自らの可能性と、リーダーシップに気づき、行動を起こしたくなる本である。
あらゆる人に読んでもらいたいと思ったが　特に　活路を求める経営者と管理職、必読。
それにしても 秀逸な内容を表紙の「オビ」が隠してしまっているのが　おしい。