Collide の感想

　90年代初めのヴォーカル・グループ全盛期をリアルに体験した僕にとっては，JODECIとBoyz II Menは，特別な思い入れがあります。しかも，JODECIは事実上の解散状態。K-Ci&JoJoの歌声もあまり聞かれなくなりました。となれば，Boyz II Menの新作への期待値は高まります。
　「What Happens in Vegas」は，映画『アメリカン・グラフィティ』を思わせる60年代風のポップなメロディーと，突き抜けるようなハイトーン・ヴォイスが夢見心地です。「Better Half」は，そよ風のように穏やかで爽やかなアコースティック・ナンバー。サビの分厚いコーラスには圧倒されます。深い悲しみを湛えたバラード「Losing Sleep」では，沈鬱なコーラスに悲壮感漂うファルセットが胸を打ちます。ハイトーン・ヴォイスでのシャウトも印象的な「Already Gone」や，ピアノの調べも爽やかな「Diamond Eyes」もイイですね。たどたどしいピアノが郷愁を誘う「Collide」は，切ないまでにひたむきなコーラスが心に響きます。
　デビューから20年あまりが経過しましたが，3人の歌声，ハーモニーはいまだ衰えることを知らず，心に響きます・・・・が，その一方で，楽曲面では何か突き抜けるようなものがないように感じたのも事実。そこはちょっと残念。心地良いアルバムではあるのですが・・・・。