中国史の名君と宰相 (中公文庫) の感想

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タイトル中国史の名君と宰相 (中公文庫)
発売日2011-11-22
製作者宮崎 市定
販売元中央公論新社
JANコード9784122055704
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

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東洋史家宮崎市定が歴史事典の類に寄稿した文章などを編集した一書です。「大帝と名君」、「乱世の宰相」、「資本家と地方官」、「儒家と文人」の4章にまとめられています。取り上げられた名君は、始皇帝、漢の武帝、煬帝、康熙帝、雍正帝の5人。唐の太宗、明の永楽帝などは含まれていません。宰相は、李斯、馮道と汪兆銘、南宋の賈似道の4人のみ。諸葛亮や王安石がないのは、ちょっと残念です。本書に登場する宰相はいずれも評判の芳しくない連中ですが、批難囂々の人物にも取り柄のあることをきちんと指摘しているのは、さすが宮崎です。

本書は宮崎の書下ろしではなく、全集に漏れたものなどを門下生がかき集めたものですから、統一性に欠けるのはやむを得ない。内容も詳しいものや簡略なもの、文体もくだけたものや硬いもの、さまざまです。宮崎の文体は、論文は気韻があり格調が高く、一般向けは平易暢達、ユーモアにあふれています。本書はその両方を楽しめますが、とくに興味深いのは、『鹿洲公案』の著者藍鼎元の紹介文です。雍正帝による藍鼎元任命のくだりを小説風に描いたものですが、宮崎の遊び心のなせる面白い読み物です。

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