主題と変奏 (中公文庫) の感想
参照データ
タイトル | 主題と変奏 (中公文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 吉田 秀和 |
販売元 | 中央公論新社 |
JANコード | 9784122054714 |
カテゴリ | エンターテイメント » 音楽 » 音楽理論・音楽論 » クラシック音楽 |
購入者の感想
秋のある日,FMラジオから流れ始めた音楽に,わたしは掴まれた。 30分間,その音楽だけに集中した。 それは バルトークの「弦楽器と打楽器とチェレスタのための音楽」だった。
ブリティッシュ・ロックやプログレッシブ・ロックばかり聞いていたわたしは,こんなにも密度の高い音楽があったのかと思った。 もっと聞きたいと思った。
手当たり次第に,名盤何百選や音楽雑誌を読み始めたのだが,どうも表面を撫でるだけの,一定の音楽的教養があれば誰にでも書けそうな,つまらない文章しか見つからない。
そして吉田秀和に出会った。 この人は莫大な教養を持っているが,教養で書くのではなく,自分の感性だけを信じて書いていると思えた。 そして吉田秀和を読み始めた。
ピエール・ブレーズの「春の祭典」が,これまでの演奏とは全く違ったものであることを教えてくれた。 ポリーニを教えてくれた。 ポリーニを知らなかったら,ベートーベンの後期ピアノソナタに夢中になることもなかっただろう。ショパンもそんなに聴かなかったと思う。 そしてシューマンを教えてくれた。
この本に「シューマンは明確にとびこえた」という1行がある。 シューマンは古典派の枠を飛び越えて,真のロマン派になったのだと思う。シューマンは躁鬱病(双極性感情障)を持っていたと言われる。 クライスレリアーナなどを聞くと,その気分の揺れの激しさが伝わってくる。(しかし,なんと美しく昇華されていることか!)
バルトークの音楽がどうしてあんなに緊密なのかも,この本で分析されている。
これは著者の第一評論集だが,わたしはこの本が一番好きだ。
ブリティッシュ・ロックやプログレッシブ・ロックばかり聞いていたわたしは,こんなにも密度の高い音楽があったのかと思った。 もっと聞きたいと思った。
手当たり次第に,名盤何百選や音楽雑誌を読み始めたのだが,どうも表面を撫でるだけの,一定の音楽的教養があれば誰にでも書けそうな,つまらない文章しか見つからない。
そして吉田秀和に出会った。 この人は莫大な教養を持っているが,教養で書くのではなく,自分の感性だけを信じて書いていると思えた。 そして吉田秀和を読み始めた。
ピエール・ブレーズの「春の祭典」が,これまでの演奏とは全く違ったものであることを教えてくれた。 ポリーニを教えてくれた。 ポリーニを知らなかったら,ベートーベンの後期ピアノソナタに夢中になることもなかっただろう。ショパンもそんなに聴かなかったと思う。 そしてシューマンを教えてくれた。
この本に「シューマンは明確にとびこえた」という1行がある。 シューマンは古典派の枠を飛び越えて,真のロマン派になったのだと思う。シューマンは躁鬱病(双極性感情障)を持っていたと言われる。 クライスレリアーナなどを聞くと,その気分の揺れの激しさが伝わってくる。(しかし,なんと美しく昇華されていることか!)
バルトークの音楽がどうしてあんなに緊密なのかも,この本で分析されている。
これは著者の第一評論集だが,わたしはこの本が一番好きだ。