モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質 (経済産業研究所・経済政策レビュー) の感想

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参照データ

タイトルモジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質 (経済産業研究所・経済政策レビュー)
発売日販売日未定
製作者青木 昌彦
販売元東洋経済新報社
JANコード9784492393703
カテゴリ » ジャンル別 » ビジネス・経済 » IT

購入者の感想

本書の主題はモジュール化の”すごさ”を解説するところにありますが、
中でも現在日本が大きなシェアを誇っている工作機械と半導体露光装置について、
どのようにシェアを獲得していったのか、また今後はどういった方向に向かうのか
をモジュール化というキーワードとともに分析している部分は大変興味深いものでした。
特に著者が実際に各メーカの担当者に対して行ったヒアリングをもとにした内容であるため、
現場の臨場感がビシビシと伝わってくる刺激のあるものでした。

ここでは工作機械とモジュール化の関係の部分に絞って内容を紹介させて頂きますが、
あくまで本書の一部に過ぎず、その他にも興味深い内容が数多くありました。

---以下内容の紹介----
工作機械とモジュール化の関係としては、1980年頃に登場したNC(=数値計算)工作機が
ターニングポイントとなっています。実は1970年代の日本の工作機械は世界で4位でしたが、
NCの登場とともに一気に1位となり現在にまで至っています。その理由が、モジュール化であり、
日本の工作機メーカはNCの登場とともにいち早く工作機のメカ設計と制御装置を切り分けて、
制御装置は専業メーカから提供してもらう方式を取りました。一方でアメリカやドイツでは
自社ですべてを設計する方式のままでした。
その結果、制御装置メーカには各工作機メーカとの技術開発により様々なノウハウが蓄積され、
そのノウハウがまた各工作機メーカへ還元されるという好循環が起き、日本の工作機業界全体の
底上げが実現され、それが世界トップへと押し上げる力となりました。
また、制御装置のモジュラー化により、従来は職人的であった工作機械産業をコストと品質が
重要な要素である量産型の産業に変えたとまでいえます。
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買っては見たものの、なかなか読み始めるきっかけがつかめずにいました。今回、2週間の米国出張に持っていく本の一つに加えました。時差ぼけ解消、移動などがあって、出張はまとめて本をよめるいいチャンスです。結果として、米国を旅しながらこの本を読んだことで理解の仕方がかわったと感じています。
 車で道を走れば、市内のローカル道路と都市間を結ぶフリーウェイがはっきりと分かれています。そして、その接続部分で流れが止まることのないような十分なジャンクションが用意されています。
 ホテルで電話をかけようとすれば、ローカル、長距離、国際と別々のシステムになっていることに気がつきます。それぞれの範囲ごとにキャリアが存在し競争をおこなっています。
 これらのことはこれまでにも目には入っていたわけですが、ある意味、慣れた日本のシステムとの違いを違和感としてしか感じていませんでした。しかし、本書の読解と並行しながら進む旅の中でそれらの設計の本質が自然に感じられてきました。モジュールの構成を決める全体のアーキテクチャーが設計され、モジュール単位で競争が行われるということが、この国では、当たり前の考え方なのですね。それによって成功した部分や、時に日本に対する政治的・経済的な要求の意味合いというものが、少しわかった気がします。
 本全体としてのまとめといったものがあるわけではなく、様々な論文やディスカッションがそれぞれ違った形でモジュール化を説明していますが、それによって分野横断の共通性を浮き彫りにし、このテーマのまとまりを感じることができました。
 本書で語られている課題は、今仕事で解決しなければならないテーマと大きな重なりをもっています。本書で参考文献としてあげられていた本(Disign Rules、等)を読み進めていきたいと思います。

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