オールタイム・ベスト-オリジナル-Special Edition(DVD付) の感想
参照データ
タイトル | オールタイム・ベスト-オリジナル-Special Edition(DVD付) |
発売日 | 2014-12-03 |
アーティスト | 中森明菜 |
販売元 | ユニバーサル ミュージック |
JANコード | 4988005863799 |
Disc 1 : | スローモーション 少女A セカンド・ラブ 1/2の神話 禁区 北ウイング サザン・ウインド 十戒(1984) 飾りじゃないのよ涙は ミ・アモーレ[Meu amor e…] DESIRE -情熱- ジプシー・クイーン 難破船 TATTOO 二人静 -「天河伝説殺人事件」より |
Disc 2 : | Everlasting Love 愛撫 月華 原始、女は太陽だった MOONLIGHT SHADOW -月に吠えろ APPETITE 帰省 ~Never Forget~ The Heat ~musica fiesta~ Days 落花流水 花よ踊れ DIVA Crazy Love I hope so SWEET RAIN (BONUS TRACK) |
カテゴリ | » ミュージック » ジャンル別 » J-POP |
購入者の感想
中森明菜の数ある名曲の中に「椿姫~ジュリアーナ~」という歌がある。まだレコードの時代,確かシングル「サンドベージュ」のB面だったので,あまり世間的には知られていないかもしれない。踊り子の生き様を歌ったエスニック色の強い歌で,当時の明菜の路線ではあるものの,少々背伸びしている感があった。しかし,DVDに納められた明菜の映像を見ていたら,この歌が私の脳裏をよぎった。歌手としての名声を得れば得るほど,明菜は孤独に苛まれ,どんどん人を信じられなくなっていった。レコード会社とのトラブルから,歌手活動の危機を迎えたこの時期,明菜は本当にどん底の状況だった。歌うどころではなかったであろう。それでも,明菜は自らの宿命を背負い,ステージに立った。自分を信じ,待ってくれているファンのために。だから,このDVDの明菜は,悲壮感が漂いすぎる。見ているのが,正直つらい。声も本調子にはほど遠く,普段なら聴かせ所の「ミ・アモーレ」の最後のロングトーンも歌えずじまい。悲痛な表情で,ファンに詫びるよう頭を下げる姿には,かつての歌謡界の女王の風格はない。でも,やはり明菜は天性の歌手,いや表現者である。これまでとは違ったオーラを発し始めている。その光は,とてもはかなげだけれども,この上なく優しい。癒しの光とでも言うのだろうか。「ありふれた風景」の後に自然に湧き起こる歓声が,何よりそれを物語っている。淡々とした決して盛り上がる曲ではないのに,明菜の歌唱に,表情に,人々は魅せられたのだ。来年1月に完全復帰のニュースが入った。ファンとしては,うれしいことこの上ないが,どうか無理はしないでほしい。明菜が好きな歌を,歌いたい歌を,納得できる形で私たちに届けてくれれば,それで満足である。歌姫が昔のように生き生きと,元気に歌い踊る姿を,われわれはずっと待ち望んできたのだから。ただ,もしリクエストに応えてもらえるなら,「椿姫~ジュリアーナ~」を今の明菜にぜひ歌ってほしい。このまま眠らせてしまうのは惜しい曲である。