感じてわかる! セラピストのための解剖生理 カラダの見かた、読みかた、触りかた の感想

解剖学というととても範囲が広く、覚えたことを実務に活かすにはどこから手をつけたらいいかわからない、という悩みを解決してくれる良書です。人の身体がどうして「つらく」なるのか。「楽に」なるのか、を知るのに必要なしくみが、平易な言葉とわかりやすい論理で展開されています。特筆すべきは解剖学の理解に必要となる骨、筋肉の名称を自分の頭の中でマッピングしていけるよう、それがどこにあり、そしてどんな形状をしているか、見やすいイラスト付きで明記されているところかと思います。読み進めながら実際に自分の身体をさわりながら、あるいは身体の内部を自分なりにイメージしながら覚えていく理論は吸い込まれるように記憶に残ります。読み終わる頃にはこれまでの「なぜ」がジグソーパズルのように理解が進み、納得できたという達成感が気持ちよい一冊です。

筋肉のお手入れ、メンテナンス方法を語ってくれる本は、数多くあります。
手技のテクニックを網羅的に書いてある本も数多くあります（お高いですが）。

この本は、とても具体的に　からだの、ある部分に特定して説明を進めていきます。
ですから、１冊で　網羅的なテクニックの本をお望みの場合は、まず最初に選択肢から
はずしてください。

もし、テクニックの数ではなく、
自分のからだに語ってもらいながら、自分のからだをどのように使ったら、こうあって
ほしいからだになるのか、これを知りたい方には　お薦めします。
私の勉強不足なのかもしれませんが、この種の本には、始めて出会いました。

たとえば、
からだを使って　羽ばたく動作をする、この時に、なにをどうイメージしたらよいか？
普通(?)に羽ばたいてみると動くのはこの範囲。こうやって鎖骨をたどって　ここを触って
、縮こまった羽ばたきを感じたあとで、ここを触りながら、こう動かす。こう動くこと
を意識しながら羽ばたくと、肩甲骨を使った、ダイナミックな羽ばたきができる。
このようなことを教えてくれます。

例の数は、決して多くありません。
が、からだに対する考え方を徹底的に教えてくれます。
｢からだのことは、自分のからだに聴きなさい。本は、教えてくれない｣、
こう言われているようです。

この本が教えてくれている　からだへのアプローチの方法で、
自分のからだに聴きながら　理解を深めていってみようと思います。