How Much is Enough?: Money and the Good Life の感想

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タイトルHow Much is Enough?: Money and the Good Life
発売日2012-06-28
製作者Edward Skidelsky
販売元Penguin
JANコード9780241953891
カテゴリ洋書 » Subjects » Nonfiction » Economics

購入者の感想

久しぶりにskidelskyの作品を読みました。似たような題名の作品(Enough: True Measures of Money, Business, and Life)を前に読んだことがあり、その読後感があまり良くなかったので、どうも抵抗があったのですが。この作品の読後感はというと、なかなか寝っころがって読む作品ではなかったというところでした。というのは議論の展開に動員される古典の知識が生半可ではないのです。プラトン、アリストテレス、アダムスミス、ロック、ゲーテ、ケインズそしてマルクーゼまでが総動員されて、議論は展開されます。さすが歴史家であるskidelskyならではの作品に仕上がっています。
著者の発端は、ケインズの予言がなぜ外れたかというところに始まります。一人あたりのGDPの成長率はケインズの予想通りに増加したのにかかわらず、なぜ労働者の労働時間は彼の予想通りには低下しなかったのかというのが、その疑問です。同じように、1973年を基準とした場合、一人あたりのGDPは倍近くになっているにもかかわらず、人々の生活への満足度は、全く増加していない。この1973年という基準時期は意味深です。この辺の時期が大きな分水嶺のポイントなんですね。
議論は多岐を究めます。この豊潤な中身は作品を読んで味わっていただくほかはありません。哲学的な議論から反成長の考え方まで多岐にわたります。特に反成長を「自然との調和の必要性」から正当化する議論への著者の反論はなかなか鋭いものがあります。
底流に流れるのは現代の自由主義理論の価値中立性への妄執とその結果としての価値の真空状態にうまく悪乗りした新自由主義並びに新古典派経済学への鋭い批判です。それと共に繰り返されるinstrumentalとintrinsicの価値の議論は、つまるところ「政治」の復権と「宗教」の役割の再認識を必要とするようです。

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Penguinから発売されたEdward SkidelskyのHow Much is Enough?: Money and the Good Life(JAN:9780241953891)の感想と評価
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