秒速5センチメートル [Blu-ray] の感想

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参照データ

タイトル秒速5センチメートル [Blu-ray]
発売日2008-04-18
監督新海誠
出演花村怜美
販売元コミックス・ウェーブ・フィルム
JANコード4560107150313
カテゴリ » DVD » ジャンル別 » アニメ

購入者の感想

転勤で数年過ごした小山市、周辺の岩舟町が舞台ということで購入しました。

岩舟って、こんなに雪降らんぞと思いながら観たけど、あの独特な形の山が、
神々しさを表していて、綺麗な映像だと思います。

昔、遠距離恋愛とか片思いしていたとかいう人は、感情移入できるストーリーでは
ないでしょうか。

但し、主人公の心理描写が???なところがあり、小説版を読んで初めて理解
出来たので、???な方は小説版も後から読むことをお勧めします。

3編ありますが、貴樹視点→花苗視点→貴樹・明里視点でストーリーが進み、
何度観ても、それぞれ切ない気持ちにさせられる映画です。

大体の批判をまとめると
a.主人公が嫌い、言動がリアルじゃない
b.起承転結がなくダラダラしてる
c.バッドエンドじゃん
こんなかんじかな

aは、確かに現実なら夜中学生が外出てたら親が探すだろうし、
社会人になっても初恋を引きずってる男はめったにいないだろう。
でも仮に親が探してきて子供を怒鳴りつけるシーンとかあったら雰囲気ぶち壊しでは。
必要ないシーンだし、後でこっぴどく叱られたんだろうなぐらいの想像で済ませればいい。
主人公は確かにナヨいが、島耕作みたいなのが女転がして出世する話じゃ「秒速5km」になっちゃうだろ。
過去を忘れられない、秒速5cmしか前に進めない主人公の葛藤がこの作品のテーマ。

bは、そもそも起承転結やストーリー構成で魅せようって作品じゃない。
淡々と歳をとっていく中で、内面は何も変われない、時間の流れと感情の流れの
ギャップを表現する作品だから、これ見よがしな大事件や主人公の活躍は必要ない。

cは、自分ではなく主人公の気持ちを考えてほしい。自分だったら、会社辞めて
彼女に振られて超バッドエンドだろう。だが主人公は会社や彼女を自ら捨てている。
それは変われない自分や孤独をごまかすため、それらをキープしてたに過ぎないからだ。
これ以上過去から逃げ、自分と周りを傷つけてはならないと思ったからこそ捨てたのだ。
踏切の向こうに初恋人の幻影がなかったのは過去との決別を表しており、
やっと前に進む決心がついたのだからどう考えてもハッピーエンドだろう。

ちなみにこの作品は国内より海外の評価が高い。
起承転結が明快な「君の名は」ももちろん面白いが、
葛藤や成長などの内面的なテーマも楽しんでほしい。

こんなに充実した1時間はなかなか味わえないってくらい濃いです。
ラストは、まぁそんなもんだよねぇって納得感と切ない感じです。

「君の名は。」からの後追いですが、新海監督では一番好きな作品に出会えました。
ストーリー、映像、音楽、全て良かったです。
商品としての欲をいえば、DVDボックスに収録されているようなメイキングや、サントラもあれば良いと思いました。

あちこちで「いまひとつ」といった評を見かけるこの作品。
反面、「深く心に染み入った」という人もまた多数です。

観る人を左右するポイントは、自分に主人公のような体験があるかどうか。

・遠距離恋愛をしたことがある
・お互い好きなのに、離れてしまったことがある
・忘れられない人、思い出がある

こういった経験がないと、第一話は普遍的で良いとしても、第二話での主人公の冷たい優しさは理解できず、まったく感情的な演出をとっている第三話では話から突き放されてしまいます。

逆に、自身の体験や感覚と重なる人は、一見すると何もないようなストーリーの中に、愚直なくらいの切ない恋心が表現されていることに感動します。
幼心に大切な人を見つけ、それでも、いつまでも一緒にはいられないと予感する【第一話】。
美しすぎる思い出を忘れてしまえない【第二話】。想いが届かない苦しさを知っているゆえ、自分を好いてくれる子に中途半端に優しくしてしまう。それが一番残酷なことだと気付く余裕もなく。
大人になってもうまく現実を生きられない【第三話】。ラスト五分はPVのように「one more time, one more chance」にあわせフラッシュシーンが流れるだけなのですが、一、二話の主人公の胸中が分かっているなら、もはや言葉では言い様のない感傷がここで最高潮へと達するでしょう。

― 憧れに一途であり続けることは、下手な生き方なのだろうか ―

私としては、これ以上なくエモーショナルで、今までの新海作品のテーマがまとまった最高傑作でした。

通常版と限定版とを迷っている方には、限定版をオススメします。理由は「サウンドトラックCD」。
サントラを聞くと、アレンジされた主題歌も美しいことながら、もうひとつのメインテーマの旋律(2、10曲め)がどうしようもなく切なくノスタルジックです。さながら第一話の、雪の一夜のように。

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