「日本の朝鮮統治」を検証する1910-1945 の感想

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タイトル「日本の朝鮮統治」を検証する1910-1945
発売日販売日未定
製作者ジョージ アキタ
販売元草思社
JANコード9784794219978
カテゴリ歴史・地理 » 日本史 » 一般 » 日本史一般

購入者の感想

本書は大きく6部から構成されている。1部では「統治史研究の最前線」として修正主義史観と民族主義史観を比較し、民族主義史観の誤謬や危険性を説く。2013.1.2のNYタイムスの社説を取り上げ、事実を蔑ろにした論説の欺瞞性を浮き彫りにしている。また、朝鮮人の日本人に対する憎悪の構造を端的に解説、3人の著名人の朝鮮統治政策に対する否定的見解を紹介した後、「近代化」の視点を付加した研究、すなわち植民統治による(朝鮮側の)恩恵も事実として記述することが妥当だと結論付ける。本書の主著者であるジョージ・アキタ氏は名前からも分かる通り日系の学者だが、共著者のブランドン・パーマー氏の論文を読むまでは、朝鮮の民族史観に疑問を感じることはなかった。六波羅弘子氏の論文「Local Officials and the Meiji Conscription Campaign」を読んだ上で、朝鮮に於ける日本の徴兵制施行の際、暴動が1つも起こっていないことから、朝鮮の民族史観に大きな疑問を抱くようになった。これが本書を著すことになった端緒である。
2部では「統治の実相」として山縣有朋の同化計画、大隈重信の政策、原敬の朝鮮観等を俯瞰した後、朝鮮と台湾、フィリピンの統治の実態を紹介している。台湾やフィリピンと比較し、差別にあたるような事実はない。日本国内に於いても、政党政治の影響力が大きく(民主主義は機能していた)、軍部は常に右往左往させられていた。また、陸軍、海軍は不倶戴天の敵で、いかに予算を獲得するかで四苦八苦していた。朝鮮半島で新たな火種を作る余力はなかったのが実態だ。
以降、3部では「統治と司法」4部では「日本の統治と近代化」5部「軍人と文官」6部「統治政策の評価」と続く。事実を元にした論の組み立てが丁寧でイデオロギーを排した記述に終止している。全6部を18章に分けて構成しているが、理路整然としてたいへん読み易い。参考文献も豊富である。また6部は是非多くの方に読んでもらいたい。誤解されている事実を解きほぐす知識が大切だと思う。

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