行政判例ノート 第3版 の感想

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参照データ

タイトル行政判例ノート 第3版
発売日販売日未定
製作者橋本 博之
販売元弘文堂
JANコード9784335355684
カテゴリジャンル別 » 社会・政治 » 法律 » 行政法

購入者の感想

 行政法における主要な判例集としては、本書のほかに、判例百選、ケースブック、行政法判例集などがあるが、本書は、「ノート」の名に相応しく、繰り返し読むのに最も適した判例集だと思う。同じ判例ノートシリーズでは、刑訴法がメジャーだが(と勝手に思っているが)、同シリーズでも、刑訴法とはかなり編集の仕方が異なっている。刑訴法の判例ノートよりもフォントが大きく、文字が少なく、解説が少なく、判決文の引用は長い。行政法の特性を踏まえた適切な編集だと思う。

 本書の掲載判例数(200強)は、ケースブックを超え、百選と同程度であるが、「通読」するなら、本書は百選・ケースブックの半分以下の時間・労力で済む。百選のような過剰な解説はなく、ケースブックのような過剰な事実紹介や少数意見の掲載がないからである。
 行政法判例を読んでいると、問題とされた法令・条例を知りたい場面において、既に改廃され、調査困難な場合が多々ある。判決文中で引用されている場合には原文に当たることで知り得ることができるが、判決文中で引用されていない場合も少なくない。その点、ケースブックは、参照条文を掲載しており、重宝する。
 百選の解説は、過剰・高度すぎる場合もあるが、読むことで目から鱗が落ちる場合も少なくない。
 行政法判例集は、百選と同程度の長さの事実・判旨の紹介があり、解説はない。掲載判例数が膨大なのが特徴である。

 したがって、「一般的」学習者が「通読」するなら、本書を主とし、ケースブック・百選を参照用にするのが良策ではないかと思う。本書は、掲載判例数は程良く、「事実」は簡潔かつ要点を落とさずにまとめられており、「判旨」は、もう少し長い引用が欲しいものも散見されるが、多くは要点が見事に抽出されており、「POINT」と題する解説は、簡潔だが、読者に気付きを与える不思議な記述が多数見られる(桜井=橋本の基本書と重複する内容も多い。)。

この本は、橋本先生、櫻井先生の教科書とセットで学ぶと、効率が断然上がります。最低限の知識を教科書で学ぶと同時に最低限の解説を本書で学ぶ。最低限、最低限と繰り返すようですが、その最低限さえ身につければ、司法試験だってトップレベルで合格できます。そして、本書で判例知識を身に着けたら、『行政法解釈の基礎』で事例の考え方を学びましょう。これで行政法は試験対策としてはばっちりです。これ以上を目指したい人には、そのような趣旨の教科書、判例集、演習書が山ほどありますので、そちらを使えばいいでしょう。でも、まずは、やっぱり試験でしょ?

掲載判例のピックアップはとても適切で、版も頻繁に改訂して最新判例を加えてくれているので信頼できます。

また、引用についても必要な部分を十分に切りだしてくれているので、ケースブック(引用がやや長すぎる)より使い勝手が良いです。ケースブックについては、事案で問題となっている個別法まで引用されている点が評価されているようですが、個人的には個別法解釈の手法は「事例研究行政法」などの演習書を通じて体得すればよいと考えているので、判例集としてはこれで十分だと思います。

さらに、橋本先生が各判例に一言ずつポイント解説を加えているのですが、これがとてもためになります。やや簡潔に書かれているので、一読しただけでは意味がわからない場合もあるかと思いますが、重要なコメントが多いので理解に努めるとよいです。

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