介護現場は、なぜ辛いのか: 特養老人ホームの終わらない日常 (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 介護現場は、なぜ辛いのか: 特養老人ホームの終わらない日常 (新潮文庫) |
発売日 | 2013-06-26 |
製作者 | 本岡 類 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101276113 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論 |
購入者の感想
高齢者介護の現場は過酷だ、という話はよく耳にする。腰痛が持病となるような体力仕事だとか、どう反応するか予想がつかない年寄りを相手にした息も抜けない長時間勤務だとか、厳しさに見合っていない低賃金だとか。ノンフィクション作家でもある著者は、そんな「現場報告」が少なくないなか、排泄物の処理という、シビアな、そして人間生活の基底にある局面を最重視して、リアルな現場ルポにまとめあげている。言い換えれば、単に過酷だというのではなく、リハビリパンツやオムツの交換などの執拗な描写を通じて、介護士のハードな仕事を体感させようとし、その手法は十分に成功しているように思った。
本書のベースになったのは、著者自身による週2回の特養ホーム非常勤職員勤務(5カ月)。確かに長くはなく、また夜勤の辛さも経験しないままの「腰かけ」程度の現場勤務のようにも見える。しかし、そこは客観的・具体的な経験の再現に長けたノンフィクション作家ならではのタッチとテンポ。「介護社会」の階層性、将来がみえてこないヘルパー2級や介護福祉士の現状、介護保険制度がはらむさまざまな難題など、マクロな視点もきちんと配されていて切実な読了となった。
本書のベースになったのは、著者自身による週2回の特養ホーム非常勤職員勤務(5カ月)。確かに長くはなく、また夜勤の辛さも経験しないままの「腰かけ」程度の現場勤務のようにも見える。しかし、そこは客観的・具体的な経験の再現に長けたノンフィクション作家ならではのタッチとテンポ。「介護社会」の階層性、将来がみえてこないヘルパー2級や介護福祉士の現状、介護保険制度がはらむさまざまな難題など、マクロな視点もきちんと配されていて切実な読了となった。