老人介護 じいさん・ばあさんの愛しかた (新潮文庫) の感想
参照データ
タイトル | 老人介護 じいさん・ばあさんの愛しかた (新潮文庫) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 三好 春樹 |
販売元 | 新潮社 |
JANコード | 9784101286525 |
カテゴリ | ジャンル別 » 社会・政治 » 社会学 » 社会学概論 |
購入者の感想
この本は、自意識過剰の人に大きな福音をもたらすものである。老人とか介護といったキーワードでおさまらない、広い視座を提供する、ありがたい本だ。何を評者は言いたいか。「私は」「私が」とつい口に出す人(レビュアーもそのひとり)は、三好さんの言葉の流れに身をまかせると、「主体の変容」が始まり、楽になるということだ。なにげないエピソードに忘れがたいものがある。例えば、すでに介護のベテランである著者が新しく出会った初老の男性は、決して心を開こうとはせず、それどころか三好氏に口汚いことばを浴びせる。しかし同じ患者が、若い女性職員にはにこやかにやさしく接する。それを見て、著者は「自分が好かれなくても、スタッフの誰かが信頼されるならばケアは成り立つ」と思う。このような「わたし」に対するこだわらない意識は、ものすごく大切なことだ。