超芸術トマソン (ちくま文庫) の感想

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参照データ

タイトル超芸術トマソン (ちくま文庫)
発売日販売日未定
製作者赤瀬川 原平
販売元筑摩書房
JANコード9784480021892
カテゴリ » ジャンル別 » 文学・評論 » エッセー・随筆

購入者の感想

この本の元になった赤瀬川原平の連載が白夜書房のウィークエンドスーパー、写真時代
で発表されてから24年ほどになるのだろうか。一時のブームにすぎないと思われた本書がこ
れほどのロングセラーになって刷数を重ねていると誰に想像できただろう。

 トマソン観測は路上観察に発展解消したようなアナウンスが出版元から成されている。
 ほんとうにそうだろうか。

 無名な人達が発見のおもしろさに突き動かされて、ある者は煙突に登りある者は休暇を
とって街を歩き回った。美しいだけで全く役に立たないものの為に。
そんな有り様が赤瀬川の筆を動かし、独特な(異様と言ってもいい)ダイナミズムがあふ
れた本になっている。
内需拡大→地上げバブル にさらされた東京の町のナマな記録も本書の切り離せないバッ
クグラウンドとして色を放っている。

 トマソンとは決して有名な先生達が頭でひねくり出した観念的な思いつき、平凡な物の
しゃれた見立てではなくて実在するものだったと20数年は証明しているのではないだろうか。
また美術・芸術とはなんなのかを美術を学び、志す人には問い直してくる青春の書でもあろう。
(さしづめ美術界のサリンジャー?)

なお単行本、白夜書房版は連載途中での出版のため文庫版
に入っている連載末期の内容は入っていない。写真も若干違いがある。
写真の印刷製版は文庫版がむしろ見やすい。
カバーデザインはどちらも平野甲賀。
本書の前に雑誌「ウィークエンドスーパー」などで連載していた「自宅でできるルポルタージュ」
をまとめたのが単行本「純文学の素」であってその連載途中でいきなり「というわけでトマソンである」
と唐突に始まったと記憶しています。

*「考現学」は今和次郎の発案によるもの(1920年代)。トマソン連載開始当時赤瀬川は神田の
「美学校」で「考現学教室」という教場を担当していた。考現学の手法がトマソンの“下地”
“前史”と考えることはできる。

新しい視点を与えてくれる本にめぐりあえる機会はそう多くない。この本はそういった数少ない機会を提供してくれる本である。純粋階段にはじまり、無用の窓口、無用門へと続く流れは、新しい視点を詳細な観察からつくりあげていくプロセスと楽しみを非常にわかりやすい形で示してくれる。
その後に続く発見も驚きに満ちており、読者を飽きさせない。

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