親鸞 (ちくま新書) の感想
参照データ
タイトル | 親鸞 (ちくま新書) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 阿満 利麿 |
販売元 | 筑摩書房 |
JANコード | 9784480065889 |
カテゴリ | 人文・思想 » 宗教 » 仏教 » 仏教入門 |
購入者の感想
今年は法然800回御遠忌、親鸞750回御遠忌の日本浄土教記念year。両者に関する興味深い著作は昨年からもよく目につくようになったが、そんなメモリアルな年の初めに、かなりよい感触の親鸞本が出たという印象がある。親鸞の開眼した「信心(まことのこころ)」とは何か?数十年間にわたりその真相を知りたいと探求してきた著者が、多くの先行研究に学びつつ、だが学問的には不確定な部分を自分の「納得」のいく「物語」で補いながら、ひとつの実存が到達した答えとして論じていく。この学究と求道のないまぜになった文章が、平明でありながらもドシンと重みがあり、素晴らしい。
90歳に迫る晩年にいたるまで自分の「凡夫」としてのダメっぷりを自虐し続けた親鸞。だがその欲望満載かつ他人から承認されたくてたまらない汚れっちまいぱなしの自己のなかに点灯した「信心」に導かれて、同じく「アホ」であることで平等な「ともがら」とともに生き死んでいった親鸞。その信仰世界の実像に肉迫しながら著者は、世俗道徳を超出する仏教の物凄さの価値をこの現代日本に改めて問いかけようと試みている。安易に「悟り」などとはいはない。しかしなお人間にとって救いとなる仏の道とはどのようなものか?本書を読めば、その困難な問いが読者の心中に灯りをともすはずである。
90歳に迫る晩年にいたるまで自分の「凡夫」としてのダメっぷりを自虐し続けた親鸞。だがその欲望満載かつ他人から承認されたくてたまらない汚れっちまいぱなしの自己のなかに点灯した「信心」に導かれて、同じく「アホ」であることで平等な「ともがら」とともに生き死んでいった親鸞。その信仰世界の実像に肉迫しながら著者は、世俗道徳を超出する仏教の物凄さの価値をこの現代日本に改めて問いかけようと試みている。安易に「悟り」などとはいはない。しかしなお人間にとって救いとなる仏の道とはどのようなものか?本書を読めば、その困難な問いが読者の心中に灯りをともすはずである。