もし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫) の感想

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参照データ

タイトルもし僕らのことばがウィスキーであったなら (新潮文庫)
発売日販売日未定
製作者村上 春樹
販売元新潮社
JANコード9784101001517
カテゴリ文学・評論 » エッセー・随筆 » 著者別 » ま行の著者

購入者の感想

アイラ島がこの本にあるような島で、そこに住む人々はこの本にあるような人々か。おそらくはそうでないだろう。そういう意味では、この本は虚偽に満ちいている。村上春樹調で話す人間などいないし、アイラ島民だからといってアイラモルトを好むわけではない。灘や伏見の人を想起しよう。彼らですらキリンラガーかアサヒスーパードライを好んで飲んでいる。
しかし、だ。それがためにこの本の価値は下がらない。「この本が嘘だっていうのはわかってる。でも僕はこの本を鞄に入れてアイラの島に行きたい。アードベッグやキルホーマンの蒸溜所に行きたいんだ」。これでいいじゃないか。

まぁ、敢えて村上さんが書かなくても良いテーマですので、星一つ分減です。
が、内容は面白いです。小説と違い、片意地張らずに読め、ウィスキーの知識まで得られる楽しい紀行本とでも言いましょうか。
私もモルトウィスキーが大好きです。

15年程前に肝臓を悪くして、アルコールは一滴も飲めなくなっているのが玉に瑕ですが。

 村上春樹はこの本のなかで、この世の中には静かに語りかけることでしか伝わらないモノがあるということを、ウィスキーに託して語っている。大げさな感動や驚嘆で語られるモノに、不信感や退屈をおぼえている人に、ぜひおすすめしたい。酒飲みだけにこういう本を楽しませておくなんて、もったいない。村上春樹の文章には、曖昧なところがない。石を積み上げるように言葉がきっちりと置かれているが、それでいて無味乾燥ではない。詩の破片かとみまごう美しいフレーズがいくつもある。静かに語りかけることでしか伝わらないモノを、あえて伝えようとする努力は、たとえば蒸留されたウィスキーが透明になっていくように、言葉の明度をあげるらしい。スコットランドやアイルランドの風景の、空気の質感さえ感じられる。
 写真は単行本のときとだいたい同じだが、文庫という判型を考慮して、レイアウトはかなりちがっている。たとえば、見開きで二枚使われている写真が、文庫では左右が逆になっていたりする(110~111)。こんなふうに写真を引き比べて、そういう工夫を眺めてみるのもおもしろい。この本を読みおわると、美しい静けさのなかで充足しているものを、ウィスキーと呼びたくなる。本来、存在するすべてのものは、そういう充足のなかにあったのだという当たり前のことに、気づかされる。

この数年、アイラ島のラフロイグがお気に入り(ヨードチンキを飲んでるみたいと笑う人もいますが)なので、村上氏がそれらについて書いていると聞き読んでみました。本書はアイラ島やアイルランドで出会った出来事などをさりげなく、そしてシングル・モルトについての熱い思いが書いています。ゆったりした夜や休日に、シングル・モルトを片手に読むと、最高のリラックスになるのではないでしょうか?
アイルランドの旅行の中で、彼の理想とする旅行スタイルとして、“宿の予約はせず、レンタカーで自由に動き、4時ごろ宿につき軽くシャワーを浴び、近所のパブで黒ビールを1パイント飲み、町をブラブラ散歩し、おなかがすいてきたところで美味しそうなレストランに入り、食事し酒を飲む”みたいなことが書かれていて、ぜひいつかこんな旅をしてみたい!と思いました。
蛇足ですが、村上さんも書かれていますが、生牡蠣にラフロイグを数滴垂らして食べると、磯の香りがふんだんにして、最高においしくて幸せな気分になるので、まだの方はぜひ試してみてください!

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