脳はすすんでだまされたがる マジックが解き明かす錯覚の不思議 の感想

アマゾンで購入する

参照データ

タイトル脳はすすんでだまされたがる マジックが解き明かす錯覚の不思議
発売日販売日未定
製作者スティーヴン・L・マクニック
販売元角川書店(角川グループパブリッシング)
JANコード9784041101599
カテゴリジャンル別 » 人文・思想 » 心理学 » 心理学入門

購入者の感想

カードやコインを扱ういわゆるテーブルマジックから大がかりな人体移送などのようなマジックまで、幅広い古今東西のマジックを“ネタバレ”を交えつつ、それらを支える仕組みを解説していきます。しかし、これは単なるトリックの曝露ではなく、人間の錯覚(視覚、聴覚、触覚あらゆる感覚のズレ)をマジシャンがどのように利用し、またテクニックとしてエンタテイメントにまで昇華しているのか、二人の神経学者が実践を交えて詳細に説明しているところに特徴があります。人間の空間認識や判別能、また記憶や認知(思い込みとも言える)がいかにアバウトなものであるか、もちろんそれ故に人間はここまで隆盛を極めてきた訳ですが、思い知らされる一冊です。その根底にはエセ科学や超常現象に名を借りた単なるマジックのトリックを利用しただけの宗教儀式に対するアンチテーゼも含まれ、詐欺に引っかからないための教養書でもあります。
中身は素晴らしいのですが、まずテキストが主体で図説や分かりやすいイラストが非常に少ない(もちろん協力してくれたマジシャンへの配慮でしょう)ため、文章からマジックの全体像を把握するのに脳がフル回転です。また正直翻訳が直訳に近い(これも神経学的な誤りを無くすための配慮でしょうが)ため、流れるように文章を読むことが出来ません。もう少し専門家でない読者のために意訳があっても良かったと思います。
本症だけでも300ページを超える分量であり、途中で挫折しながら読み終えましたが、満足感より疲労感たっぷりです。こういうハードカバーを読むと、日本の「新書」という形態が素晴らしい出版物であると再認識します。人間の脳がどれだけの情報を認識し、また省略して活動しているのか、そんな分野に興味のある方にお勧めしますが、気軽にクリック購入すると後悔します。

本書はマジックを入り口にして、ヒトの認知や感覚機能、つまり生理的な錯覚のしくみについてのものである。
したがって、ある程度の許容範囲内だろうが、マジックのネタバレがけっこうある。
本書を楽しむには、このネタバレを許容できるかどうかというのが、ひとつの物差しになるだろう。
もちろん、ネタバレ部分をとばして読めるように工夫はされている。
しかし、どうしても読んでいるとネタを知りたくなってしまうのは、しかたがない。
そのくらい、本書で脳機能の入り口として紹介されているマジックには魅力があるものが多い。

なぜヒトはだまされるのか?そのとき、脳はどういうふうにはたらいているのか?
本書は脳機能、視覚、そして認知能力について、医学や生理学の専門家でなくてもある程度は楽しめるように説明されている。
そして、当然ながら専門領域のひとにとっても、なかなかに内容のあるものだ。
もちろんマジックやだましには心理手な要因が絡むので、その心理学的な部分についても言及されている。
このだましのトリックが、物理学的、生理学的、および心理学的な理屈で説明されているあたりが本書の読みどころだ。

そして、なぜだまされてしまうのかが理解できると、いかにしてだまされないようにするかということがわかる。
マジックだけではなく、詐欺、似非科学、心霊現象など、ヒトの心につけこむだましのトリックはたくさんある。
簡単にだまされてしまわないために、我々の脳がもともとだまされるような機能を持っているということを理解することは、意味がある。
ただし、本書はマジックのネタバレ本ではけっしてない。
ニューロマジックと著者らが述べているように、本質は脳の生理的な機能についてのものだということを、改めてことわっておこう。

あなたの感想と評価

コメント欄

関連商品の価格と中古

脳はすすんでだまされたがる マジックが解き明かす錯覚の不思議

アマゾンで購入する
角川書店(角川グループパブリッシング)から発売されたスティーヴン・L・マクニックの脳はすすんでだまされたがる マジックが解き明かす錯覚の不思議(JAN:9784041101599)の感想と評価
2017 - copyright© みんこみゅ - アマゾン商品の感想と評価 all rights reserved.