You're Dead! [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 初回盤のみ特殊パッケージ仕様 / 国内盤] 特典マグネット付 (BRC438) の感想

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期待と注目の集まる中、前代未聞のジャケット(笑)を纏いリリースされたフライング・ロータスの最新作。このジャケットやタイトルにも示されているように、本アルバムのコンセプトは“死後の世界”とのことです。
(すると、その奥から光を放つ顔面に開いた穴は、臨死体験者がしばしば目の当たりにすると言う、あの世へのトンネルなのか!)

…ただ実際に聴いてみると、生演奏の比重がグッと増したせいか、“あの世感=異世界感”は、それほど強く感じませんでした。
手数の多さと言う点では恐らく過去最高だと思いますが、その総体としてのビートそのものは比較的ストレート(悪く言えば平板)な印象で、『Cosmogramma』や『Los Angeles』で見られた、打ち込みと生演奏がもつれ合いながら刻んでいく、この世のものとは思えない―まさしく異世界的な―ハイブリッドなリズムと音像に魅了された者からすると、そのフックの無さに若干の物足りなさを感じたのも事実です。
逆(?)に、ジャズの文脈に位置付けて彼の作品に触れてきたリスナーにとっては、“テン世代”の新しいジャズの展開として待ち望んでいた作風と言えるのかも知れません。

いずれにせよ並大抵のアルバムではないことは間違いなく、これが他のアーティストの手掛けた作品であれば星5つなのですが、何しろフライング・ロータスですからね…少し辛い点を付けた次第です。
しかし、一定のスパンで注目作をリリースし続ける、その“健啖ぶり”には圧倒されます。今もっとも信頼できるアーティストであり、次作では、またこちらの想像を超える展開を見せてくれるであろうことに疑いはありません。

遂にぶち抜けた！！ジャケットからして来るところまで来た感じはあるが、
今までの彼のアルバムとは一線を超える超快楽的変態ビートミュージックである。

思えばジョン・コルトレーンの甥という事でシーンに登場し、根っからのビートジャンキーである私は
あまりデビューアルバムの1983にあまり満足する事が出来ずに「ジャズ畑の人がヒップホップをやってるんだな」
とドレッドスコットのような評価だった。ワープと契約したのはいささか驚いたが、それからも
綺麗目なインスト音楽を作ってると、変態の私としては個人的にはあまりぱっとしない作品が続いた。

Cosmogrammaで注目を集めて、確かに今までの彼からは実験的であり意欲作だなと思った。
出だしから満足できる優秀作Until the Quiet Comesを得て遂に真打が放たれた…。

ビートミュージックに生のジャズミュージシャンの演奏をぶつけるという簡単に出来そうで
実は以外とバランスが難しい離れ業を難なく乗りこなし、あまりにも多種多様で雑多な音を
まるで北斗百裂拳のごとくビートジャンキーの鼓膜から脳髄へと叩き込んでくる。
ドープなゲリラ的オールジャンルミックスＣＤの如く、次に何が流れてくるのか全く予想出来ない展開が
快楽という名の秘孔を刺激して、あなたはもう「あべしッ！」と悶絶して爆発する他は無い。

もはや「ジョン・コルトレーンの甥」とか「ジョン・コルトレーンのＤＮＡ」という宣伝文句は全く不要である。
というかそんな事に今まで囚われて、彼の実力の底を見余っていた私はもう既に死んでいた…。

たくさんの人に聴いて貰いたい超傑作な訳ではあるが、今までのオシャレジャケットに
惹かれて購入していたオシャレ女子達が、あまりにもな絵面に今回は購入を控えるかと
思うと心配である。…ていうかそんなヤツらはもう既に死んでいるッ！！とにかく必聴な訳です。