丸山真男 音楽の対話 (文春新書) の感想

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タイトル丸山真男 音楽の対話 (文春新書)
発売日販売日未定
製作者中野 雄
販売元文藝春秋
JANコード9784166600243
カテゴリ »  » ジャンル別 » ノンフィクション

購入者の感想

 丸山真男の人間像を知るだけでなく、よき時代のクラッシック音楽を知りたい人にも面白く読める本。
 丸山がいかに西欧の古典音楽が好きであったか、とくに晩年は「本店」としての政治思想史の学問をうっちゃるほどに入れこんでいたことが、本書を読んでよくわかった。そういう意味では、思想史家としての丸山だけに関心のある人には向かない本かもしれない。が、丸山の人間像を知るには読まざるを得ない本だと思う。
 もっとも興味をそそられたのは、フルトヴェングラーを例に挙げて、ナチス独裁政権下の明日をも知れない極限状況でこそベストの演奏ができたのではないかとの問いに丸山が苦しい返答をせざるをえなかった記述だ。丸山とは離れるが、極限状況下の優れた音楽演奏はよくあることで、あの名ピアニストのリパッティも、ジャンルは違うがジャズ演奏のコルトレーンも、自身の肉体が滅びる寸前に偉大な演奏を行なっている。
 
 著者が車で丸山を別荘まで送る際の、丸山のひどく喜ぶさまを描いた箇所も面白い。かつては東大法学部で丸山の講義を受け、いまは公用車での送り迎えに慣れきった亡国の高級官僚や財界のお偉方に読ませたい。
 師匠丸山の文章とは対極のように、流れるようなかろやかな文章でスラスラと読み飛ばすことができるが、そのぶん軽薄で大袈裟で俗っぽく、筆が流れすぎる嫌いがあるのが唯一の欠点か。

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