中野京子と読み解く 名画の謎 旧約・新約聖書篇 の感想
参照データ
タイトル | 中野京子と読み解く 名画の謎 旧約・新約聖書篇 |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 中野 京子 |
販売元 | 文藝春秋 |
JANコード | 9784163759302 |
カテゴリ | » 本 » ジャンル別 » ノンフィクション |
購入者の感想
中野京子さんのファンです。『怖い絵』が有名ですが、絵に関するものだけではなく、『マリー・アントワネット運命の24時間』などの歴史ものも「読ませる」作家さんです。この方の膨大な知識量と文章のうまさ、そして読者を「楽しませよう」という姿勢にシビれます。
この『名画の謎』シリーズは、名画の本流である神話画と宗教画をテーマに扱いながら、他の著作と比べてもダントツに「楽しい」です。『ギリシャ神話篇』は、ゼウスやヴィーナスなど神々が引き起こすゴタゴタに的確なツッコミを入れながら解説するので、ときどき噴きだしてしまうほど笑える…。一見むずかしそうな神話や名画に、一気に親しみが持てました。
そしてこの『旧約・新約聖書篇』は、「難しくてありがたく、そして遠い…」と感じていた宗教画を、イキイキとしたドラマティックなものとして感じさせてくれました。
そもそも旧約聖書についてはあまり知らなかったので(一応ミッションスクールに通っていたのに…)、カインとアベルだけでなく、エサウとヤコブ兄弟も「えこひいき」のせいで仲が引き裂かれていたことや、アブラハムが神にいいとこ見せようとして100歳のときにできた(!)息子を殺そうとしたこと、サムソンとデリラの恋と裏切りの話など、すばらしい絵とテンポのよい解説により、すごく面白く感じました。
そして、新約聖書の章も、聖母マリアの受胎告知について、ダ・ヴィンチの名画に彼の猜疑心がひそんでいることや、考えてもみなかったですが「おめでとう、と言われても…」と困ったに違いないだろうな…と考えるきっかけを提示してくれていて、「そういうものもふくめての信仰なんだなぁ」いうことが、よく理解できました。
わからないで感じる「すごい」ではなく、「わかる」からこその「すごい」に変わる。注文主はそんな思惑があったんだ、画家はそんな葛藤があったんだ、それにしてもこの表現はすごい、と絵を観ながら感じることって、現代人の贅沢だと思います。
「歴史的名画」が、「自分にとっての名画」になる、それがしかも、楽しくてあっという間に読める文章によって。これぞ中野マジックだと思います。
この『名画の謎』シリーズは、名画の本流である神話画と宗教画をテーマに扱いながら、他の著作と比べてもダントツに「楽しい」です。『ギリシャ神話篇』は、ゼウスやヴィーナスなど神々が引き起こすゴタゴタに的確なツッコミを入れながら解説するので、ときどき噴きだしてしまうほど笑える…。一見むずかしそうな神話や名画に、一気に親しみが持てました。
そしてこの『旧約・新約聖書篇』は、「難しくてありがたく、そして遠い…」と感じていた宗教画を、イキイキとしたドラマティックなものとして感じさせてくれました。
そもそも旧約聖書についてはあまり知らなかったので(一応ミッションスクールに通っていたのに…)、カインとアベルだけでなく、エサウとヤコブ兄弟も「えこひいき」のせいで仲が引き裂かれていたことや、アブラハムが神にいいとこ見せようとして100歳のときにできた(!)息子を殺そうとしたこと、サムソンとデリラの恋と裏切りの話など、すばらしい絵とテンポのよい解説により、すごく面白く感じました。
そして、新約聖書の章も、聖母マリアの受胎告知について、ダ・ヴィンチの名画に彼の猜疑心がひそんでいることや、考えてもみなかったですが「おめでとう、と言われても…」と困ったに違いないだろうな…と考えるきっかけを提示してくれていて、「そういうものもふくめての信仰なんだなぁ」いうことが、よく理解できました。
わからないで感じる「すごい」ではなく、「わかる」からこその「すごい」に変わる。注文主はそんな思惑があったんだ、画家はそんな葛藤があったんだ、それにしてもこの表現はすごい、と絵を観ながら感じることって、現代人の贅沢だと思います。
「歴史的名画」が、「自分にとっての名画」になる、それがしかも、楽しくてあっという間に読める文章によって。これぞ中野マジックだと思います。