稼ぐ力を取り戻せ!―日本のモノづくり復活の処方箋 の感想

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タイトル稼ぐ力を取り戻せ!―日本のモノづくり復活の処方箋
発売日販売日未定
製作者冨山 和彦
販売元日本経済新聞出版社
JANコード9784532318895
カテゴリビジネス・経済 » 経営学・キャリア・MBA » 資格・就職・MBA » MBA(経営学修士)

購入者の感想

結論から言うと、メーカービジネスに関わる方は、中の人も外部のコンサルタントも、一度は目を通すべき良書。
いわゆるお仕着せの教科書理論を振り回すコンサルタントではなく、事業の実際の皮膚感覚を踏まえつつ、日本的組織のDNAの何を活かし、何は打破すべきかを、具体的に踏み込んでおりリアリティに溢れています。

私が印象に残ったのは、以下の3点。

1.共通コストの分厚さによって、規模の経済が効くか否かを把握する事業エコノミクスの視点(M&Aなどですぐに規模の経済の話がでるが、規模の経済が効かない業種は多々ある)

2.“標準化”や“つなぐ化”で部門の壁を超える具体的アプローチ(市場ニーズ→要求仕様→製品仕様→製品構成→生産工程のフローチャートはわかりやすい)

3.日本の大手企業=古くて大きな組織は、集団的な経験蓄積力が効き、不連続なイノベーションが起きにくい領域(熱と力の制御が重要な建機、重電、航空機エンジン、医療機器、エネルギー関連機器)で戦え

1は、なんとなく我々が巨大化=規模の経済と思い込んでいる浅はかさを論理的に説明し、頭の中をクリアにしてくれます。
2は、いわゆる市場ニーズから製品仕様まで、コストを無駄に積み上げずに落としこんでいく具体的プロセスのヒントが詰まっており、メーカー内部の人はぜひ目を通していただきたい所。
3は、日本がBtoCデジタル家電で弱い理由と共に「不連続なイノベーション領域は、過去の経験値がリセットされ続けるので、若い会社には勝てない」と言い切り、古くて大きな日本企業は集団的な経験蓄積力が効く事業に舵を切れと説いています。(この視点を理解すると、古くはGE、現在ではパナソニックの戦略転換が非常にスムーズに理解でき、ハラオチします)

などなど、その他細かな点はぜひ本書をご覧いただきたいのですが、私のようなひと通りの知識やフレームワークを、上っ面であっても勉強して頭に詰め込んだコンサルタントにとっても新たな気づきと学びの多い本でした。おすすめです。

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