わらう春画 (朝日新書) の感想
参照データ
タイトル | わらう春画 (朝日新書) |
発売日 | 2014-10-10 |
製作者 | オフェル・シャガン |
販売元 | 朝日新聞出版 |
JANコード | 9784022735812 |
カテゴリ | ジャンル別 » アート・建築・デザイン » 日本の伝統文化 » 浮世絵・絵巻物 |
購入者の感想
全世界で指折りの春画蒐集家であるオフェルシャガン氏による春画解説本。
全ページカラーの体裁になっており、新書サイズでありながらも豪華な装丁になっていると感じた。
モノクロでは難しい、肉筆春画の繊細なタッチまでしっかり判別できる。
内容に関しては春画蒐集家と言われるだけあって、
著名なものからマニアックなものまで掲載しており
春画ビギナーからマニアまで楽しめる内容になっている。
特に後半にかけて「女性器の幽霊」や「性交するための装置」など
『頭大丈夫?』と思うくらい変態的な春画も収録しており面白い。
日本人のユーモアセンスはずば抜けていたことがよく分かる。
しかし、掲載される春画のチョイスについては面白くおすすめできるが、
残念ながら肝心の文章のほうは全くおすすめできない。
というのもシャガン氏は「春画はポルノではない」という姿勢を
頑なに崩そうとしないのだが、これによって全ての春画の解説に無理がありすぎるのだ。
春画を見て自慰行為にふける男性・女性を描いた春画は多数存在するが、
この本ではそれについては全く触れられていない。
蒐集家であるシャガン氏が「春画で自慰行為をする姿を描いた」春画を知らないとは思えないのだが…。
だからこそ全編を通じて
人気役者のセックスシーンを描いた春画=ゴシップ
レイプシーンを描いた春画=戒め
など、「自慰行為用途抜き」の論拠で構成されているのは非常に無理があるように思えた。
シャガン氏の宗教観が反映されているのか何なのか分からないが、
明らかに不自然で誤解を生む可能性が高いので、
春画入門としてはおすすめできる本ではないと感じた。
全ページカラーの体裁になっており、新書サイズでありながらも豪華な装丁になっていると感じた。
モノクロでは難しい、肉筆春画の繊細なタッチまでしっかり判別できる。
内容に関しては春画蒐集家と言われるだけあって、
著名なものからマニアックなものまで掲載しており
春画ビギナーからマニアまで楽しめる内容になっている。
特に後半にかけて「女性器の幽霊」や「性交するための装置」など
『頭大丈夫?』と思うくらい変態的な春画も収録しており面白い。
日本人のユーモアセンスはずば抜けていたことがよく分かる。
しかし、掲載される春画のチョイスについては面白くおすすめできるが、
残念ながら肝心の文章のほうは全くおすすめできない。
というのもシャガン氏は「春画はポルノではない」という姿勢を
頑なに崩そうとしないのだが、これによって全ての春画の解説に無理がありすぎるのだ。
春画を見て自慰行為にふける男性・女性を描いた春画は多数存在するが、
この本ではそれについては全く触れられていない。
蒐集家であるシャガン氏が「春画で自慰行為をする姿を描いた」春画を知らないとは思えないのだが…。
だからこそ全編を通じて
人気役者のセックスシーンを描いた春画=ゴシップ
レイプシーンを描いた春画=戒め
など、「自慰行為用途抜き」の論拠で構成されているのは非常に無理があるように思えた。
シャガン氏の宗教観が反映されているのか何なのか分からないが、
明らかに不自然で誤解を生む可能性が高いので、
春画入門としてはおすすめできる本ではないと感じた。
作者は江戸時代の春画が、勧善懲悪、公衆道徳推進の目的が合って、制作されたと言い張りたいようだ。たとえば、レイプを描いた春画は、犯人どもを冷酷、残忍に見えるように描くことで、きゃつらが人間のクズ、であることを示しているのだ、などと言っている。レイプは、いまのAVでも一定のシェアをもつ「お題」だが、なぜそれが描かれるかといえば、その下劣で残忍な犯罪行為が、見たくてたまらない、下劣な消費者が江戸時代も今日でも一定数、存在するからだ。
作者は、春画はポルノではない、エロティック・アートだと言い張る。見るものをして下劣な感情を催さしめるものが、猥褻物というらしいが、お下劣な感情を懐いてはいけないなどと、他人から言われる筋合いはない。
春画はポルノ、猥褻物。それを見て「春情」を来たすのは、江戸の人も我われも同じだ。江戸の社会のほうが、「春情」に大らかだったのだろうとは思う。それに対して作者は、春画の「目的」は、夫婦和合、家庭円満。不倫、浮気、売春は悪、などの道徳教育の振興にあるように思っているらしい。
常にお上の意向の裏をうかがい、粋でお洒落で、かつは売れる商品開発にしのぎを削っていた、江戸春画の作者連にしたら、まさに噴飯ものだろう。おいおい、飛んだ野暮天野郎がでてきたぜってか。
田中優子、氏家幹人などの江戸の性風俗もの、タイモン・スクリーチ『片手で読む江戸の絵』、中野美代子『中国春画論序説』などを読まれるといいのでしょうが、本書もヘブライ語→英語→日本語と訳されたらしいから、日本の普通の関連書籍も読むことはないのかな?
ついでに。 宮沢賢治は熱心な仏教信者で、「オレは生涯、一滴の精液も体外に漏らしたことのない男だ」と言っていた。その男が、200枚ほどの春画のコレクターでもあった。これはどういうことだろうか? たぶん、彼の中では、仏教と春画のテーマ(性)が深く関わっているからだろう。そんなレベルで、春画を論じて欲しいのだが。
本書のタイトルの「笑う」ことと春画とは深い関わりがあるので、いささか期待するところがあったが、内容は「笑われて」しまった。
作者は、春画はポルノではない、エロティック・アートだと言い張る。見るものをして下劣な感情を催さしめるものが、猥褻物というらしいが、お下劣な感情を懐いてはいけないなどと、他人から言われる筋合いはない。
春画はポルノ、猥褻物。それを見て「春情」を来たすのは、江戸の人も我われも同じだ。江戸の社会のほうが、「春情」に大らかだったのだろうとは思う。それに対して作者は、春画の「目的」は、夫婦和合、家庭円満。不倫、浮気、売春は悪、などの道徳教育の振興にあるように思っているらしい。
常にお上の意向の裏をうかがい、粋でお洒落で、かつは売れる商品開発にしのぎを削っていた、江戸春画の作者連にしたら、まさに噴飯ものだろう。おいおい、飛んだ野暮天野郎がでてきたぜってか。
田中優子、氏家幹人などの江戸の性風俗もの、タイモン・スクリーチ『片手で読む江戸の絵』、中野美代子『中国春画論序説』などを読まれるといいのでしょうが、本書もヘブライ語→英語→日本語と訳されたらしいから、日本の普通の関連書籍も読むことはないのかな?
ついでに。 宮沢賢治は熱心な仏教信者で、「オレは生涯、一滴の精液も体外に漏らしたことのない男だ」と言っていた。その男が、200枚ほどの春画のコレクターでもあった。これはどういうことだろうか? たぶん、彼の中では、仏教と春画のテーマ(性)が深く関わっているからだろう。そんなレベルで、春画を論じて欲しいのだが。
本書のタイトルの「笑う」ことと春画とは深い関わりがあるので、いささか期待するところがあったが、内容は「笑われて」しまった。
みなさん知ってました??海外の日本文化を学ぶ大学生が「春画」を大学の授業で取り入れていることを?w
春画を通して、時代背景や文化を知るたくさんのエッセンスがつまっているそうです☆
シャガンさんのファンとして今まで、たくさんの春画を見せてもらいましたが、
この一冊にはコミカルな感じで、春画を楽しめるというか本当に笑える一冊。
彼女と今度一緒に見たいと思います。
なかなか「性」や「お金」の話は日本ではタブーとされていますが、このように芸術という角度から「性」について
考えるきっかけをくれる春画はわれわれ日本人にとっては良い機会だと思います。
著者は春画に魅了されたイスラエル人のとっても日本大好きな素敵な人。
是非一家に一冊☆
春画を通して、時代背景や文化を知るたくさんのエッセンスがつまっているそうです☆
シャガンさんのファンとして今まで、たくさんの春画を見せてもらいましたが、
この一冊にはコミカルな感じで、春画を楽しめるというか本当に笑える一冊。
彼女と今度一緒に見たいと思います。
なかなか「性」や「お金」の話は日本ではタブーとされていますが、このように芸術という角度から「性」について
考えるきっかけをくれる春画はわれわれ日本人にとっては良い機会だと思います。
著者は春画に魅了されたイスラエル人のとっても日本大好きな素敵な人。
是非一家に一冊☆