ヒーローを待っていても世界は変わらない の感想
参照データ
タイトル | ヒーローを待っていても世界は変わらない |
発売日 | 2012-08-21 |
製作者 | 湯浅 誠 |
販売元 | 朝日新聞出版 |
JANコード | 9784022510129 |
カテゴリ | 本 » ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 |
購入者の感想
派遣村、「反貧困」(岩波新書)、反貧困ネットワークで知られる著者の民主主義論です。橋下大阪市長の登場からうかがえる「ヒーロー待望論」に危機を感じて著されました。温厚な人柄がそのまま文章になったのでしょう、自らの体験を引いて現在の民主主義がいかに危うい状態にあるか、どのように克服すべきなのかを諄々と語りかけます。
自分に関係のない人のニーズを「既得権益」とレッテルを貼って攻撃するやり方に湯浅氏は警鐘を鳴らします。いろんな人の利害が交錯している事象を簡単に白黒つけるやり方は、効率的に見えて実は多くの人の利益を排除し、ディメリットをもたらすことを自身の家族を例に解説します。民主主義とは利害関係を辛抱強く調整して決めることであって「効率性」と「決める」ことはトレードオフの関係にあり、性急に決めようとすれば民主主義は形骸化すると言うのです。
また主張することは大事だが、決定へ至る面倒な調整作業を放棄していては何も決められない、何も変わらないと指摘して安易な批判を彼は諌めます。ヒーローを待望し、ヒーローにすべてを預けるのではなく、気付いた人が現実に関わりをもって一歩一歩改善へ向かって努力しなければ、何も変わらないと「行動」を勧めるのです。ここには内閣参事官を2年間勤め行政に携わり、政策の実現に腐心した彼の体験が反映しています。
「ヒーロー待望論」が強まる現在を、湯浅氏は地道な調整作業抜きで決めるやりかたは乱暴で国民のためにならないと断じます。現場で弱者の側から発想し、行動してきただけに湯浅氏が穏やかな口調で語る「民主主義」に信頼を寄せて期待したいと私は思いました。そのためには私にも何らの「行動」が求められています。
自分に関係のない人のニーズを「既得権益」とレッテルを貼って攻撃するやり方に湯浅氏は警鐘を鳴らします。いろんな人の利害が交錯している事象を簡単に白黒つけるやり方は、効率的に見えて実は多くの人の利益を排除し、ディメリットをもたらすことを自身の家族を例に解説します。民主主義とは利害関係を辛抱強く調整して決めることであって「効率性」と「決める」ことはトレードオフの関係にあり、性急に決めようとすれば民主主義は形骸化すると言うのです。
また主張することは大事だが、決定へ至る面倒な調整作業を放棄していては何も決められない、何も変わらないと指摘して安易な批判を彼は諌めます。ヒーローを待望し、ヒーローにすべてを預けるのではなく、気付いた人が現実に関わりをもって一歩一歩改善へ向かって努力しなければ、何も変わらないと「行動」を勧めるのです。ここには内閣参事官を2年間勤め行政に携わり、政策の実現に腐心した彼の体験が反映しています。
「ヒーロー待望論」が強まる現在を、湯浅氏は地道な調整作業抜きで決めるやりかたは乱暴で国民のためにならないと断じます。現場で弱者の側から発想し、行動してきただけに湯浅氏が穏やかな口調で語る「民主主義」に信頼を寄せて期待したいと私は思いました。そのためには私にも何らの「行動」が求められています。