魂の脱植民地化とは何か (叢書 魂の脱植民地化 1) の感想
参照データ
タイトル | 魂の脱植民地化とは何か (叢書 魂の脱植民地化 1) |
発売日 | 販売日未定 |
製作者 | 深尾葉子 |
販売元 | 青灯社 |
JANコード | 9784862280602 |
カテゴリ | ジャンル別 » 人文・思想 » 哲学・思想 » 哲学 |
購入者の感想
じっくりと読み、また読み返したい本に出会いました。
素晴らしいとか良いとか、そういった言葉ではとても表現できない内容の、著者渾身の一冊と感じました。タイトル「魂の脱植民地化とは」は、本書の全てを包含する主題で、各章が、この主題を紐解いていきます。一語一語、丁寧に選択された語は、著者自身の言葉になり、文になり、読者を選ばずに語りかけるような流れを構成しています。どの章もかなり読み応えがあるのですが、著者自身の体験を告白しながらも決してそれに溺れることなく、充分にアップ・デートされた知識と鋭敏な感覚で、客観的視点を確保して書かれているところが秀逸だと感じます。著者がなぜそう考えるのかが、ストンと理解できるのです(優秀な学者さんの著書は、往々にして表面的に綺麗な言葉だけがサラサラと流れ、そこに著者のパーソナリティーが希薄で、結局心に残らないことが多いのですが)。
圧巻は、本書の佳境、「(映画)『ハウルの動く城』に見る魂の脱植民地化過程」と最終章「フクシマ・ディアスポラー歪められた言説が生む苦悩と葛藤」です。著者の思索力と筆力に脱帽しました。暖かいですが、同時に私たちに鋭い示唆をくれる本書を、幅広い読者層にお勧めしたいです。
素晴らしいとか良いとか、そういった言葉ではとても表現できない内容の、著者渾身の一冊と感じました。タイトル「魂の脱植民地化とは」は、本書の全てを包含する主題で、各章が、この主題を紐解いていきます。一語一語、丁寧に選択された語は、著者自身の言葉になり、文になり、読者を選ばずに語りかけるような流れを構成しています。どの章もかなり読み応えがあるのですが、著者自身の体験を告白しながらも決してそれに溺れることなく、充分にアップ・デートされた知識と鋭敏な感覚で、客観的視点を確保して書かれているところが秀逸だと感じます。著者がなぜそう考えるのかが、ストンと理解できるのです(優秀な学者さんの著書は、往々にして表面的に綺麗な言葉だけがサラサラと流れ、そこに著者のパーソナリティーが希薄で、結局心に残らないことが多いのですが)。
圧巻は、本書の佳境、「(映画)『ハウルの動く城』に見る魂の脱植民地化過程」と最終章「フクシマ・ディアスポラー歪められた言説が生む苦悩と葛藤」です。著者の思索力と筆力に脱帽しました。暖かいですが、同時に私たちに鋭い示唆をくれる本書を、幅広い読者層にお勧めしたいです。